町田康: パンク侍、斬られて候
これは面白かったー。失礼を承知で言えば、筒井康隆っぽい。
一歩間違えるとただのイヤミったらしい、くどくど文章になるような記述が多いのだが、それが実にすっきり読めて素晴らしい。
どこか奇妙に現代が絡みつつある江戸時代、主人公のパンク侍・掛十之進が新興宗教「腹ふり党」の危機を説きながら藩へと入り込む。藩内では、現代日本がごときサラリーマン社会。猿回しをやり、猿はしゃべる。くだらぬことで責任をなすりつけ合う。腹ふり党は腹を振り、殿は正論ばかりで無能。終盤はスラップスティックではちゃめちゃ、しかしただ滅茶苦茶にするだけではない筆力。
いやー、面白かった。この作者さんの他の作品も読みたい。(☆☆☆☆☆)
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