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2012年4月

福岡伸一: 生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

うーん、このタイトルは良くないと思うな。
内容は、分子生物学者の著者の研究思い出記録という感じで、ウイルスとは生物なのか? 無生物なのか? という問いに真っ正面から答えるものではない。

最先端の生物学研究の様子を垣間見ることができてそこは興味深いのだが、なんだか変にイヤミっぽい書き方が随所に見られるのがあまり気持ち良くない。
同じタイトルで「川喜田愛郎: 生物と無生物の間―ウイルスの話」という50年以上前の本があるのですが、こちらの方がタイトルに真剣に向かい合っていて興味深い本でした。まぁフツー。(☆☆☆)

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萩原秀三郎: 山と森の神 (目でみる民俗神)

山と森の神、そしてその信仰の様子を豊富な写真で語ってくださる一冊。
しかし日本の民俗学の本のはずなのに、冒頭から延々と中国の話を始められてしまって途方に暮れた。

文章も、「〜〜と思う」って、それはあなたが思っているだけでは……という部分が多々あって、どうも素直に読めなかった。あんまりオススメできない本だなあ。(☆☆)

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柳田国男: 日本伝説名彙

日本各地の伝説・伝承の類を、収集した大著。
どの話も数行程度の記述で、長くて半ページほどだが、さらりと読むだけで想像力が大きく広がってくる。これが昔話というものが持つパワーなのかなあ。

図書館で借りたけど、モノカキしているなら手元に置いておきたい一冊。(☆☆☆☆)

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フェルディナンド・プロッツマン: 地球のハローワーク

最初に言うと、この邦題は良くない。このタイトルで随分損しているよなぁ……。
原書タイトルは "Work: The World in Photographs" で、内容を考えてもこれは直球で「労働」と訳して欲しかった気がする。むしろ「生業(なりわい)」でも良かったかも。

内容は世界の様々な国、様々な地域での、様々な仕事をテーマとした写真集。ナショナルジオグラフィック刊行ということで、どれもとてもレベルの高い作品。
取り上げる仕事も鉱山労働や漁師などのガテン系から証券ディーラーまで実に多種多様。ただ、どちらかと言えば現代の大量消費社会を支えている肉体労働……という切り口が多いかな。

「ハッ」と思ってしまうような刺激的な写真が多く、とても惹きつけられる一冊でした。大人にも子どもにもおすすめ。(☆☆☆☆☆)

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竹村佳子: 写真で見る 京都・むかしの小学校

戦前から昭和40年台頃まで、京都の小学校の様々な写真を掲載。
これは実に興味深い本だった。昭和20年の疎開先での子ども達の集合写真など、今まで見たこと無かったようなものが多々。この京北第一小学校の女の子はいい笑顔してるなあ。

昭和初期だと洋服の子と和服の子がまだ半々くらいだなと分かったり、カメラ目線の子とまったくカメラを意識していない子の対比が素直に面白かったり……。
当時の歴史資料としても素晴らしいし、写真鑑賞としても興味深い。単純に読み物としても面白い、オススメの一冊でした。(☆☆☆☆☆)

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荻窪圭: ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!

様々な作例を紹介しつつ、ワンポイントアドバイス、的な本。
うーん、「これ!」というものは無かったかな。ふつう。(☆☆☆)

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山森丈範: ゲームで極める シェルスクリプトスーパーテクニック

タイトル通り、シェルスクリプトのテクニックを解説した本。主に端末と画面・キー制御などが重点的に、マニアックに解説される。

この辺の知識はほとんど無かったので初めて知ったことが多かったけど、実践的かと言うと……CUIのインタフェースを作ろうとしている人は参考になるだろう。
著者の技術も熱意もすごいのだが、たぶんほとんどの読者が求めているだろうとは真反対の方向を向いているため、後半はシェルスクリプトだけでテトリス(もどき)を作るなど、もはや誰も止められない状態。

序盤、Solarisでも動くように環境依存しないechoコマンドだけで15ページ以上いきなり使い出したので、どうしようかと途方にくれた。
ごめん、はっきり言って「すごいけどほとんどの人には役に立たない」本。(☆☆☆)

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本渡章: 大阪暮らしむかし案内 江戸時代編: 絵解き井原西鶴

「絵解き井原西鶴」ということで、好色五人女など様々な浮世草子とその挿し絵を元に、色々と語ってくださる。

内容はなかなか興味深く、当時の商家・遊郭の様子などが大変細かく語られる。商人の家の正月飾り、椀久一世の物語、など初めて知ったことが多かった。
しかし全体の構成がちょっととっちらかりすぎで、つまみ食いばかりなので結構混乱する。読みにくい本だったなあ。惜しい。(☆☆☆)

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東村アキコ: 海月姫(9) (KC KISS)

尼〜ずによるクラゲドレス生産、再開発反対デモ、花森xニーシャと修x月海x蔵之介。随分ととっちらかっている感があるけど、まだまだうまくまとめているストーリー展開。
先走って月梅に告白し、そして手紙でプロポーズしようとする修さんが良い味。

ちなみに花森さんが語るフルーツタルトなど、今巻は花森さん大活躍。いくら何でも出張り過ぎな感もあるが、面白いな。
フルーツタルトを上だけつまみ食いして、あっさりタルトを土台だけにしてしまうばんばさん達もマル。(☆☆☆)

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東京人増刊 新宿区を楽しむ本 2010年 02月号

新宿散歩に興味があったので、図書館で見かけて借りてみた。
著名人の新宿思い出話、という感じでフツー。あまり「おっ」と思う部分は無かったか。(☆☆☆)

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佐藤秀明: アザラシは食べ物の王様―「ママット!」北極の食卓 (青春文庫)

写真家の筆者が、北極をのしのし歩き回って目にした・口にした食べ物の四方山話。堅苦しくなく、気軽に読める。
うーん、あの寒さの中で食べるアザラシは、本当に美味しいものなんだろうなあ。北極岩魚(チャー)も美味しそう。

イヌイットと酒と自殺についても興味深い。イヌイットは、自殺率が世界一なんだそうだ。
そしてイヌイットは元来アルコールにとても弱い体なのに(極寒の地なのでそもそも酒が造れず、酒を飲んだことが無い民族だった)、ヨーロッパ文明の酒が持ち込まれたことが一大社会問題となっているらしい。色々と興味深い一冊でした。(☆☆☆☆)

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東村アキコ: 海月姫(8) (講談社コミックスキス)

いよいよクラゲドレスの生産へ取りかかる、第8巻。怪しいインドの縫製会社、シャチョウとニーシャが活躍。
なんだかアパレル業界の初歩的入門みたいなことも描かれていて面白い。今巻もなかなか面白かった。(☆☆☆☆)

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東村アキコ: 海月姫(7) (講談社コミックスキス)

いよいよ天水館での"Jellyfish"ファッションショー、という第7巻。

今回は目玉のファッションショーから蔵之介の母・Rinaの登場、そしていよいよドレスの生産へ……と話はどんどん進むものの、どの回も実に丁寧に描かれている。面白かったー。
花森さんの司会など、細かな配役もGood。「さあ月の美しい今宵……特別に人間の皆様をこの秘密のパーティにご招待致しましょう……」などセリフもステキね。(☆☆☆☆☆)

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押切蓮介: おばけのおやつ

「ピコピコ少年」でファンになった押切氏、ということで短編集を買ってきた。
ちなみに表紙の少女はイメージ図で、こういう子は出てこない。しかもこういう話は入っていない、残念。

中身はかなり玉石混合で、ちょっとゴッタ煮感が強すぎるな……。ホラー短編集と銘打っているけど、全然そんなことないような。ピコピコ少年の番外編らしき2作が入っており、これは面白かった。
ホラースポットという名の東京巡り「東京トワイライトゾーン」もなかなか。冒頭の「一体何故! 校長が私を襲う!!」も、この作者の描く幸(さち)薄そうな少女が地味に○。子犬と悪魔の力作長編「Beautiful」は、あんまりピンと来なかった。

うーん、ファンなら買い。いきなりこれ買ったら、ちょっとハズレかなぁ。(☆☆☆)

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宮本常一: 庶民の発見 - 宮本常一著作集21

これは面白い本だったー。静かで力強い一冊。
日本中を旅して民俗学研究に没頭した著者による、「庶民」のナマの生活を丹念に追っていった書。

村での「ヨメ」のあり方や、貧しき人々がどのような小遣いを持っていたかということから、農村でのオシラさま信仰などなど、語られるのはひたすら庶民の暮らし。しかしそれを単なるエッセイ的なものではなく、学術的な地位にまで高めている著者の筆力の前では、ひたすら「うおー」と唸りながら読むしかない。
生々しい庶民の生き様が綴られ、私にしては珍しくメモを作りながら読んだ(この記事の後ろにくっついているもの)。

既に著者は亡くなられているそうで、とても残念だ。私は元本の、1976年発行の未来社ので読んだ。

今は、講談社学術文庫で出ているらしい。


目次
一 庶民のねがい
二 貧しき人びと
三 変わりゆく村
四 山村に生きる
五 村里の教育
六 民話と伝承者
七 底辺の神々
八 私のふるさと

二章
-出稼ぎとは生活領域と生産領域のズレ。

三章
-境界争いの話。なぜ田んぼのアゼは曲がりくねるのかと言うと、ずるい人がちょこっと自分の田んぼを広げるのを繰り返すことによりああなる。
-境界に木を植えたりすることも多かった、しかしその木自体がどちらのものか? などやはり境界はおぼろげなことが多かった
-ことわざ・警句の効果的な使い方。村の長老と言われる人は警句がうまい。
「せきなさんな、せきなさんな、せえた清兵衛が三年まえに死んだげな」と伝馬船の船長が行った途端に皆おとなしくなった。

四章
-狩人(マタギ)も木地屋も、一定のところに居住することはすくなく山から山へわたりあるいた。山中で木の下やくさむらにある墓はそうした山の漂泊者のもの。
-山中の村では蓑や箕や竹かごをつくり里へ売りに行く。買う方は同情が強かった。期待した相手が買ってくれないと失望が強く、そのうらみで付火したという話も山中でよく聞く。
-二、三男に分家させずに下男同様に家の仕事をさせる(叔父ろく)

五章
-日本の村では飢饉や天災にそなえて大きな家が必要。一家の人員が四人以下になるとみるみるうちに絶家している。
-村がいくつか連合する例も多い。ただし自分の村の家を増やすには耕地が足りない。沖縄県与那国島の「人桝田」、田に入れない人は殺される
-一人前とは、まず一人前の労働量。田荒起し六畝、米つき二俵、田植代二反など。社会生活にみる一人前、若者組など。
-農民たちが文字を習いはじめたのは文化安政期(19世紀前半)。田畑の売買、商店との売買などに文字がどうしても必要になってきた。この時期に寺子屋も増えた。

六章
-昔話を読んでいると、農民が求めたもの・理想としたものがなんであったかがよく分かる。愚直だが誠実で、決して権力に屈しない。
-一般に文字のない社会で言葉によっていろいろの事象や思想を世間一般または後世につたえようとする場合には、記憶するための鍵が必要になる。それはる一つのものを見ることによって思い出せるもの、伝説のようなものがこれである。伝説は多く「もの」についているから、木・石・岩・水・塚・穴・坂・峠・谷・屋敷・城址・祠堂などによって分類できる。(日本伝説名彙の分類)

七章
-民間伝承:もとの趣意が忘れられ、行為だけが伝承せられる。そしてその行為の説明に、過去のおぼろげな記憶に新しい解釈がついてもっともらしくなってくる。
-オシラさま:長さ一尺たらずの棒切のさきに人間の顔・馬・にわとりなどを彫刻し、この棒に布を着せてある。二体一組。毎年一枚、布を着せる。もとは巫女が神をおろす依代として使われ、後に一般の民家でも祀られる。オシラさまが捨てられるなどする場合は他家の屋根や神社の森の枝にかけておく、すると見つけたものはオシラさまが飛んできなさったと言って持ち帰る。
-(オシラさまの彫刻について)、アイヌ人のもつイナウなどと大変近い。アイヌ人のさらに北に住む、オロッコ・ギリヤークたちはシェワという神を持っているが、これは二体一組になっており、動物をかたどっている。オシラ神と近親性がある。

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