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タニス・リー: 悪魔の薔薇 (奇想コレクション)

タニス・リーと言えば「バイティング・ザ・サン」が面白かったけど、これはホラー色が強い作品を集めた短編集。ごった煮の玉石混合という感があり、ハードホラーっぽい雰囲気の作品もあればアラビアン・ナイト的なおとぎ話も。
巻末には原書での著作リストとその邦訳一覧があり、持っていると便利。

基本的に収録は、前半にハードな作品が多くて、後半はおとぎ話っぽい。最初の方は読みにくくて途中で放り出しそうになったけど、真ん中くらいから面白くなってきた。これ、掲載順序を完全に逆にした方がいいんじゃないかな。

以下、収録作品と一口感想。なお激しくネタバレしますので、未読の方は注意。

*別離
吸血鬼のお嬢様と老執事。ゴシックな感じがマル。しかし黒さとかホラーさが足りないのでやや不満。

*悪魔の薔薇
19世紀頃のヨーロッパか。性病(梅毒)にかかっている男が、伝染すること承知で村娘とヤってしまうという後味悪すぎな作品。いやはや暗い。

*彼女は三(死の女神)
パリの夜、芸術家達を群像劇風に描く。しかし読みにくいのでギブアップしそうに。ベルトランの「夜のガスパール」に雰囲気近い。

*美女は野獣
堕落した街の暴君を、一人で出向いて討ち取る女。しかし本当にそれは暴君だったのだろうか?
うーん、雰囲気良いけどやはり読みにくい。

*魔女のふたりの恋人
好きな人の名前が言い出せなくって、その友人の方を好きな人と言っちゃうアタシ、みたいなお話。「花とゆめ」に掲載してもOK。

*黄金変成
今までヨーロッパが舞台の作品だったのに、急に東洋色が強くなった。黄金を作り出す東洋の魔女が王に取り入り、子を産み、殺めようとする。なんかよく分からなかったけど面白かった。

*愚者、悪者、そして賢者
これは面白い、イスラームな雰囲気のおとぎ話。もうそのまま「千夜一夜物語」の1作としても問題ない。
3人兄弟で一番間抜けと思われていた末弟が、うまく魔術師の魔法の指輪を奪い取ってウッハウハ。あの指輪の元ネタはソロモンの指輪かしら?

*蜃気楼と女呪者
街に住み着いた魔女が、次々と男の魂を抜いていく。しかし旅のイケメン魔術師(?)には効かず、「本当はアタシ、寂しいだけだったの」みたいな少女マンガ的展開。あんまりピンと来なかった。

*青い壺の幽霊
大魔術師がワガママ女の気を引こうと、7000人の魂が封じられた壺を手に入れる。しかし壺の中の人々は口を揃えて「この壺の中は素晴らしい」と言い、結局魔術師自身もその中へ。
なかなか面白かった。これもアラビアン・ナイトっぽいな。

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