« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »

2009年1月

北杜夫: どくとるマンボウ青春記

とっくに既読かと思っていたのだが、実は読んでいなかった。あらまぁ。北杜夫の、旧制松本高校と東北大学医学部での青春の記録。
松本高校時代の思い出話も面白いが、やはりこの本のキモは大学時代のノートだろう。
「俺はあんまりなまけるので、怠けるという文字まで忘れてしまった!」
には爆笑。

ゲラゲラと笑えて、しかもしんみりとするこのエッセイは、やはり傑作だ。若い頃に一度読み、年を取ってからもう一度読むべきだと思う。
人間、やっぱりこういう本を読んで何か思う所がないと駄目だな。(☆☆☆☆☆)

| | コメント (0)

中野明: インターネット業界のカラクリがよくわかる本

題名はカラクリとか書いてあるけど、裏事情的な話は全くない。技術的・政治的な仕組みの解説ではなく、様々なサービス・会社をピックアップして軽く説明という感じ。
しかしまぁ、その説明は簡潔にして分かりやすく、初心者にはオススメではないかと思われる。様々な数値データのグラフが多いのも便利かも。

本の最初に大々的に紹介しているのがセカンドライフと日本版マイスペースという辺りが苦笑モノだが(ってか爆笑モノだが)、まぁこれもネットの歴史だろうね。黒歴史だけど。(☆☆☆)

| | コメント (0)

天童荒太: 包帯クラブ

題名から、夢野久作の「ドグラ・マグラ」のようなものを想像していたのだが(図書館で借りたのは地味な表紙だったのだが、いつこんな軟派な表紙になったんだ?)、全く違った。

一応は青春小説ということになるのだろうが、出てくる登場人物がどれも「中高年のおっさんが想像する若者」っぽくて気持ち悪い。小説全体からそんな「媚び」が伝わってきて、結局最後まで落ち着いて読めなかった。
若者ではなく中高年だけが楽しめる青春小説という、変な雰囲気な作品だなぁというのが感想。

っつーことで、期待外れでした。(☆☆)

| | コメント (0)

武田邦彦: 偽善エコロジー - 「環境生活」が地球を破壊する

友人のKan氏より借りて読んだ。「地球に優しい生活」の嘘を暴いてくださる。

言いたいこと自体には賛成なのだけど、この本は取り上げる一つ一つのネタが多すぎて、どれも中途半端で考察不足な感は否めない。せっかく正しいまともなことを言おうとしているのに、単なる煽り本やトンデモ本として胡散臭く見られそうなのが勿体ないな。
もっとテーマを絞って、それについて煽りではなく冷静に書かないと、反対論者から突っ込まれて終わりそう。

油でベトベトのプラゴミとか、洗浄してリサイクルに回すよりも、そのまま燃やした方が絶対にエコだと思ってたけど、やっぱりその通りだった。基本的に、金属ゴミとそれ以外でいいはずなんだよなー。
あと、レジ袋の件も全く同感。私はレジ袋は必ずゴミ出しの袋に使うから、全くムダになっていない。エコバッグとやらを使っている人達は、ゴミを出す時の袋はどうしているのかな?(☆☆☆)

|

前田譲治: 光ファイバ通信技術 - 高速・高品質通信の秘密に迫る

電気通信主任技術者の試験が近いので、図書館で借りてきて読んでみた。数式などはほとんど無いので、初心者文系向け。
色々な内容を初学者に説明しようとする努力は認められるのだが、あまりに表面だけの解説になっておりよく分からん部分が多々。本当の初心者にはなかなか理解しづらく、ある程度の知識がある人には物足りない本じゃないかな。

あと、ですます調と、である調が交じっていてひどく読みづらい……基本中の基本だよ(☆☆)

| | コメント (0)

横田増生: アマゾン・ドット・コムの光と影

以前に、k師匠から聞いたので読んでみた。
アマゾンの倉庫でピッキングアルバイトとして働きながらの潜入ルポ、またその周辺業者へのインタビューなど。

書籍流通での取次との関係や昔からの慣習、日通を中心とした物流の知識などが分かりやすくかつ突っ込んで書かれており、なかなか勉強になった。
そういえばこの本で知ったけど、bk1のシステムは富士通だったのか。そりゃ上手く行くわけないね(暴言)。

この著者が懸念していた派遣を中心とした労働環境は、2009年の今、完全に現実となってしまった。その先見性には素直に感服。
しかし、ネット古本屋さんに在庫のことでいちいち電話して文句言うのはどうかと。そりゃ、個人経営の古本屋のネットカタログに、みんながみんないちいち電話してちゃ回るわけないだろー。

能力給とか成果主義といえば、頑張った人がその分報われ、能力次第で収入も増えるような給与体系のようにも聞こえる。しかし、実は働く人間の競争心をあおるだけあおって、結局は支払い給与の総額を引き下げるための都合のいい口実にすぎないことを、すでに日本中が気づいている。
いや、いまだに気がついていない人も山程いると思うけどな……。(☆☆☆)

| | コメント (0)

ジャン・ルイ エチエンヌ: たった一人の北極行

飛行機からの補給を受け、単独徒歩で北極点に到達した記録。
行く手を阻む氷に四苦八苦しながら進んで行く姿は感動的。私も冒険してみたいのう。

ちなみに北極では、歩いている氷ごと流されるので、徒歩の場合はそれに負けないように歩かなければならないそうだ。そういえばそうか、この本を読んで気がついた。(☆☆☆)

*パリで銀行から現金を引き出せない

探検から戻ってみると、最初は、自分が非常に弱っているのを感じる。あそこでは、北極でのことだが、別種のゲームの法則の下で厳しく生きてきた。それは本物のゲームの法則だ。いかに短い瞬間でも、それを支配しようとし、非常に注意深くなければならなかったし、自分の生命を非常に遠くに賭けていた。ところが、突然、別の世界に落下したようなもので、ここでは、難しくて馬鹿げた法律を適用するのに忙殺されている、非人間的な会社員たちしか見当たらない。

*目の前で交通事故

北極にいた時よりも、こちらにいる方が、ずっと脅威にさらされている感じだ。

| | コメント (0)

町田忍: 昭和レトロ博物館

銭湯愛好家などとして有名な町田氏の本。昭和30年代くらいの様々なモノについて、写真付きで色々と語ってくださる。
パラパラとめくって気軽に楽しめる一冊。(☆☆☆)


| | コメント (0)

ジュール・ヴェルヌ: 地底旅行

角川文庫版のを読んだ。訳は石川湧。
もはや古典と言えるヴェルヌのSF冒険小説だが、中身は大変に読みやすく、取っつきにくさは全く感じられない。随所に描写される鉱物・地質学の知識も豊富。私もアイスランドに行ってみたいなぁ。

なかなか面白かったけど、エンターテインメント性を考えると、冒険にはグラウベンも同行すべきだったね(☆☆☆☆)

| | コメント (0)

内田百閒: 阿房列車 - 内田百閒集成〈1〉 ちくま文庫

前々から読んでみたかったが、世田谷中央図書館で見つけて借りてきた。
「なんにも用事がないけれど、汽車に乗つて大阪へ行つて来ようと思ふ」と、用事もなく鉄道に乗りに行く先生の飄々っぷりが実にユーモラス。大変に面白かった。

本書の目次は、以下の通り。
-------------------------------------
特別阿房列車―東京・大阪
区間阿房列車―国府津・御殿場線・沼津・由比・興津・静岡
鹿児島阿房列車前章―尾ノ道・呉線・広島・博多
鹿児島阿房列車後章―鹿児島・肥薩線・八代
東北本線阿房列車―福島・盛岡・浅虫
奥羽本線阿房列車前章―青森・秋田
奥羽本線阿房列車後章―横手・横黒線・山形・仙山線・松島
雪中新潟阿房列車―上野・新潟
春光山陽特別阿房列車―東京・京都・博多・八代
-------------------------------------
これで全てかと思っていたら、まだ続きがあるらしいので、全部読みたい人は新潮文庫版の方を読んだ方がいいようです。

*鹿児島で途方もない広さの部屋に通される

あなた様はこちらへお休みになりまして、おつれ様はこちらにまだお座敷が御座いますから、こちらでお休みになれます、と番頭が云って、その広間から鉤の手に続いた座敷へ案内した。そこも亦何畳敷だか知らないが、無暗に広い。おつれ様が八十人ぐらい寝られるだろう。

*残ったおにぎりが勿体ない

八つか十這入っていたのだと思う。後に二つ残っている。
「もう咽喉を通らない」
「もう駄目です」
しかし残った二つを窓から捨ててはいけない。そう云う事をすると目がつぶれる。大事にしまって、八代の宿へ持って行く事にした。

*一等車のコムパアトで考える

人に自分がえらいと云う事を示すのに、にやにや笑っていながらそう思わせるのは中中六ずかしいだろう。手近かな方法は怒った顔をするに限る。えらい人がみんなそう思っているか、どうか知らないが、所所の停車駅で乗り込んで来る一等客は、申し合わせたように腹が立って仕様がない顔をしている。

(☆☆☆☆☆)

| | コメント (0)

遠藤明吾: 機動戦士ガンダムZZ(ダブル・ゼータ)

角川文庫版の小説を今さら読んだ。
ゼータまでで私の知識は止まっていたのだが、ZZはこんなんだったのね。

全般的にライトノベル色が強いのが気になるが、まぁこれはこれでアリか。しかし、ヤザンの扱いだけは納得できんなぁ。台無しだ(☆☆☆)

| | コメント (0)

東海林さだお: ブタの丸かじり

丸かじりシリーズ。今回は200円カツカレー、立ち食い500円ステーキ、チューチュー、中巻きなど。
床に凍ったチューチューを敷き詰めて頭の強打を狙う、「チューチュー殺人事件のプロット」が馬鹿馬鹿しくて面白い。(☆☆☆)

| | コメント (0)

ヴァシィ章絵: ワーホリ任侠伝

第1回小説現代長編新人賞の受賞作。キャバ嬢OLがヤクザの闘争に巻き込まれ、オーストラリア行ってドタバタ。
村上龍のライト版、女性バージョンって感じ。

選考委員からは絶賛だったらしいけど、うーん……。確かに面白いけど、そんなに大絶賛するほどかね?
もうこれ一冊で、この作者は十分って印象。(☆☆☆)

| | コメント (0)

吉上昭三: ポーランドの民話

興味があったので、世田谷中央図書館で借りてみた。

ポーランドの民話は、一風変わったお話が多い。またどこかもの悲しく、後味が悪いものも結構多いようだ。
キリスト教が、元からあった土着信仰を上書きしていった様子がかいま見えるお話もちらほら。

とりあえず、いくつかメモ。

*マデイの寝台
長い旅を終えて帰宅中、夜の森で底なし沼にはまった商人が、悪魔に助けられる。悪魔は「おまえの家にあり、そのことをおまえが知らないもの」を商人に要求する。
商人が帰宅してみると、愛する妻に子どもが産まれていた。商人はそれを見て、悪魔が何を欲していたかを一瞬にして悟る。子どもは成長して神学校に進み、助祭から司祭になろうというところで父親は子どもに秘密を打ち明ける。

子ども(神学生)は悪魔との契約書を奪還するためにその森に行き、一人の盗賊に出会う。「地獄で見聞きしたことを話す」という条件で盗賊の手を逃れて地獄に降りた神学生は、聖水などを駆使して魔王を苦しめる。
魔王は、商人が契約した悪魔(アスモデウス)に命じて契約書を出させようとするが、アスモデウスは拒否。怒った魔王は「アスモデウスをマデイの寝台に連れて行け!」と言い、その言葉を聞いたアスモデウスは慌てて契約書を返す。

さて、戻ってからその話を聞いた盗賊はガタガタと震え出す。彼こそがそのマデイだったのだ。
地獄にそのような恐ろしい責め具が用意されていると知ったマデイは、神学生の元で悔い改め、また神学生も立派な司教となった。


*しだの花
一年に一度しか咲かないしだの花を摘み取ると、大きな幸せが訪れるという伝説がある。
少年ヤツシは何度もの失敗の上、しだの花を手に入れるが、その条件は「誰とも幸せを分かち合ってはいけない」というものだった。
ヤツシはお城で豪華な生活を送るが、実の母やきょうだい達は苦しい生活を送っている。しかし条件を思い出し、援助することができない。
とうとう何年か経ち、家族は皆、貧困の中で死に絶えてしまった。絶望して「俺も死ぬ!」と言ったヤツシは大地に飲み込まれ、しだの花ももう見つからない。


*悪い継母
意地悪な継母(ままはは)が、元からいた娘を追い出す。
娘はまず井戸に出会い、きれいにしてくれという頼みを受けて井戸の泥をさらう。次にリンゴの木に出会い、頼みを聞いて手入れをしてから水をやる。今度は野原に置いてあるかまどに出会い、掃除してくれと頼まれ灰を払う。
彼らは、「いつか戻ってきたら、わたしのところにお寄り」と声を掛ける。

最後に娘は老人に出会い、その家で七年間働く。
七年後、娘がそろそろ帰りたいと言うと、老人は大金を払い、さらに屋根裏に上がって好きな品を持って行けという。屋根裏には色々な立派な箱があったが、娘は一番粗末な箱を選ぶ。

帰り道、かまど中には輪形パンがいっぱい入っている。「ほしいだけおとり」と言われ、パンをもらう。
さらにリンゴの木からは黄金のリンゴをもらい、井戸からは冷たい水と黄金の珠をもらう。
家に帰り着き、喜ぶ年老いた父の前で箱を開けると、中には綺麗な衣装が山ほど入っていた。

さて継母は悔しくてたまらずに自分の娘も同様に送り出すが、彼女は道中の頼みを全て断り、老人の家でも真面目に働かない。
七年後、彼女は屋根裏の一番立派な箱を持って帰る。かまどはパンをくれず、リンゴの木もリンゴをくれず、井戸も水をわけてくれない。
帰宅して箱を開けてみると、中からはは虫類やみみずが山ほど出てきて、欲張りな娘と意地悪な継母を食べてしまいました。


*怠け者の娘
カーシャという愛くるしい娘がいたが、えらく怠け者であった。
娘は暖炉の上にじっとしたまま、眠るか食べるかだけで何一つ働こうとしない。顔も洗わず、髪もとかずにもじゃもじゃ頭。「怠け者のクドワ」と呼ばれていた。
その後、クドワは森番と結婚するが、全く働こうとしない。「娘をぶつことだけはしてくれるな」と言われていた森番は一計を案じ、ある日のこと出かける前に、狩りに使う小袋を吊して家事を済ませておくようにと言って出かける。
さて帰ってみると、やはり家の中のことは何ひとつできていない。森番はクドワに小袋を背負わせ、「これから小袋の裁判を開く」と言ってから小袋をさんざん樫の木の棒でぶち続けた。
さて翌日以降、森番は小袋に「家事を済ませておけよ」と言って出かけるようになり、クドワも家事をするようになった。

| | コメント (0)

菅田正昭: 面白いほどよくわかる神道のすべて

ちと興味があったので図書館で借りてみた。
神道について色々と語ってくださるが、詰め込みすぎ感があって消化不良。「神道」についての本なので、各神様の紹介というわけではない。

神道を褒め称えようとするあまりに暴走気味の箇所も見受けられて苦笑することもあるが、まぁ内容は豊富なので色々と勉強になった。様々な会社にある神社、ってのがちょっと面白かった。(☆☆☆)

| | コメント (0)

池井戸潤: オレたちバブル入行組

バブル期に入行した主人公が、10数年後、銀行内で四苦八苦する様を描いたサラリーマン小説。
支店長や監査役などがこれでもかというほど「イヤな奴」なのだが、事実として今でも日本企業ではこんなことが行われているんだろうなぁ。

主人公の痛快な行動は読んでいて非常に面白いのだが、最後に結局は銀行のエラいポストを欲しがるというのが、ちと不満かな(たとえ改革をしたいにせよ)。
しかし、典型的な日本企業が大嫌いな私は、やっぱり邦銀で働くのは絶対ムリだと再確認。とまれ、なかなか面白い作品でした(☆☆☆☆)

| | コメント (0)

荻原浩: 神様からひと言

タイトルと表紙デザインだけ見て、「コテコテなお涙頂戴ものかなー」と思っていたら全く違った。
これは素晴らしい、まさに元気をくれるサラリーマン小説! リーマンみんなが読むべき。

タマちゃんラーメンを販売する珠川食品のお客様相談室に左遷された主人公・佐倉涼平の物語なわけだが、日本の会社組織というものの馬鹿馬鹿しさ、頭の悪さ、不条理さというものをこれでもかとユーモアたっぷりに描いてくれる。
笑いながら読みたいところだが、自分が働いている会社を思うと100%素直には笑えないという人も結構多そうだ。私もそうだけど。老害はどこの会社にもあるからねぇ。
というわけで、本当に面白い小説だった。ベタ褒め。ゴミみたいなビジネス本とか自己啓発本なんか読むより、この小説を読むべき。

しかしこの本、カバーデザインで大きく損をしていると思う。このデザインをした人、絶対に小説本文を読んでいない。
タイトルだけ聞いて、勝手なイメージで作ったんだろうな。この表紙だけで大きく損をしていることが残念。(☆☆☆☆☆)

| | コメント (0)

椎名誠: ずんが島漂流記

椎名さんのエッセイによく漂流記物が面白いという話が出てくるが、実際に書いてしまったものがこれ。
漂流記と言っても、島生活がメイン。

島の生活や森の描写などが、簡潔にして的確だなーと感心させられる。さすがだ。
内容もなかなか面白く、すっきり読めた。夏休みに入る前に読むことオススメ。(☆☆☆☆)

| | コメント (0)

« 2008年12月 | トップページ | 2009年2月 »