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2008年12月

ネビル・シュート: 渚にて - 人類最後の日

1957年に書かれた終末世界SF。第三次世界大戦により北半球は核に汚染され、南半球にその汚染が到達して人類が滅びるのも時間の問題……という筋書き。
最後を迎える人々の行動がまさに人間らしく、もの悲しい。

ちなみにこれの日本版リメイクが、アボガドパワーズの「終末の過ごし方」である(嘘)。(☆☆☆☆)

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村上春樹: 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド

もうとっくに読んだと思っていたのだが、調べてみたら未読だった。ありゃ。
既に内容については日本中で山ほど語られているので、今さら私が語るまでもあるまい。純粋にSF小説としても楽しめた。シャフリング・システム、計算士、百科事典棒。

そういえば小便をしていない、という辺りで読者にも「そういえば」と思わせる辺りが上手いな。

「とにかくその楽器はあなたにさしあげます。好きなだけ手もとに置いて下さい。こういうものは使いみちを知っている方が手にしているのがいちばんですからね。僕が持っていたって仕方ありません」
「正しいのは俺たちで、間違っているのは彼らなんだ。俺たちが自然で、奴らが不自然なんだ。そう信じるんだね。そうしないと君は自分でも気付かないうちにこの街に呑みこまれてしまうし、呑みこまれてからじゃもう手遅れってことになる」

(☆☆☆☆☆)

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高橋一清: あなたも作家になれる

図書館で目に付いたので借りてきた。著者は長く文芸雑誌の編集をされていた方。
内容はこんな感じ。
・苦手な部分を克服しなくてもいい、得意な物で勝負すればいい
・文芸誌:文學界・新潮・すばる・文藝
小説誌:オール讀物・小説すばる・小説現代・小説新潮・別冊文藝春秋
・エンタテインメント小説は「私の知らないことが書いてある」と読者を喜ばせるのが仕事
・働きながら土日作家でも行けるよ
→しかしその後、「書いている間はあらゆる文章を遮断しよう」と言われてもそりゃムリだろ。
・やめグセを付けるのをやめよう、書いている間はうぬぼれで

やはり古い方なので、深く考えずにゲームというだけで批判するなどちと老害っぽい部分もちらほら。

コンピュータゲームでは、キャラクターに重層性を持たせようとすると、プログラムにバグが出る。コンピュータにできるのは二進法の細分化だけだからだ。
うーん。IT系の仕事をしている私だが、何を言っているのかさっぱり分からないw。聞いただけの知識で書こうとせず、ドラクエやFFを2,3作でもプレイしてみてから書けばいいのにね。(☆☆☆)

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本谷有希子: 乱暴と待機

「お兄ちゃんと私」の二段ベッド生活を描いた小説。
眼鏡にスェットに二つ結びの髪とツボは突いているのだが、ちょっと期待はずれだったかな。

最初のドライヤーちょんまげなどは面白かったのだが、中盤から失速気味。テーマに対して筆力が足りないんじゃないかなと思ったのが正直なところ。
筆者には失礼かもしれんが、舞城王太郎が同じモチーフで書いたら大傑作になったんじゃないかな。(☆☆☆)

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吉野万理子: 秋の大三角

第1回新潮エンターテインメント大賞の受賞作。
最初の10ページくらいのコバルト小説丸出しっぷりに思わず投げそうになったけど、そこをガマンすればそこそこ面白かった。

内容は、幽霊が出てくる「マリア様がみてる」。いじょ。
著者の経歴から言っても、小説というより脚本という印象を受けた。あと、微妙に鉄道ネタが多いので、鉄オタな私には少し興味深かったな。(☆☆☆)

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かわぐちつとむ: 食堂車の明治・大正・昭和

鉄道ジャーナルの連載をまとめたもの。
いやはや、この本は実に力作。題名通りに、明治・大正・昭和の食堂車について様々なネタを丹念に拾い、調べ尽くしている。
貴重な資料としても、鉄オタの読み物としても必要十分だ。(☆☆☆☆)


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山下清: ヨーロッパぶらりぶらり

山下清の、式場先生に連れられていったヨーロッパ旅行記。ダイヤモンド、ゴッホ、エッフェル塔など。
挿し絵が美しい。清の「おもったこと」が実に率直で楽しい。(☆☆☆☆)


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大川豊: 金なら返せん! 天の巻

借金返済への道のりを綴った日記的ドキュメンタリー。
面白い面白いとよく聞いていたので読んでみたが、まったく面白くなかった。つまんないよ、うん。続刊も多く出てるらしいけどもういいや。

ちなみに私が読んだのはこの復刊文庫ではなく、最初の雑誌扱いの本の方なのだが、Amazonにデータが無い模様。(☆☆)

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大堀哲: ミュージアム・マネージメント - 博物館運営の方法と実践

興味があったので、放送大学の図書館で借りてきた。
博物館運営の手法について、様々な観点を様々な人が語って下さる。

各テーマについて、色んな人が5-10ページで記述。ゴッタ煮っぽいので体系立てて学びたい人には物足りないかもしれないけど、所々をツマミ読みしたい私にとっては最適だった。
またきちんと再読しよう。(☆☆☆☆)

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大正時代の身の上相談

大正時代の読売新聞の「身の上相談」をまとめたもの。当時の新聞広告なんかも掲載されていて興味深い。

静かな青年と呼ばれることを嫌がる青年が、

何とかして近所の評判を「いい青年」くらいに改めてもらうことはできないでしょうか。
と言い出すのが面白かった。
しかし、一つ一つの相談についてる編者のコメントは、蛇足な物も多いな。(☆☆☆)

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舞城王太郎 : 山ん中の獅見朋成雄

これぞ舞城ワールド。一気に読めた。
物語の構造は単純(鬣の「喪失」、僕が知らないことをモヒ寛が知っている「山に入るな」→でも入ってアクシデント、僕と読者の謎追い一体化……など)ながらも、ここまでぐいぐいと読ませる筆力は流石。

鬣の生えた主人公、書道家・モヒ寛、人盆、「しゅりんこき しゅりんこき」とどれもセンスが素晴らしい。
(☆☆☆☆)

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マーク・ストランド: 犬の人生

村上春樹・訳。
どうもピンと来ない話が多かったかな……将軍(The General)と、表題作の犬の人生(Dog Life)はちょっと良かった。

「私たちの結婚に何か問題があるということ?」
「問題なんて何もないよ。僕が言いたいのはね、あのころの僕の生活には悲劇的な側面があったということだけだよ。」(☆☆☆)

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椎名誠: 風の国へ

西域旅行の時の写真集。一枚一枚に簡単な解説も書かれている
タクラマカン砂漠の様子が興味深いけど、モノクロじゃなくてカラーで見たかったな。あと、一枚一枚の写真が小さい。特に砂漠の写真は、もっと大きいので見たかった。(☆☆☆)


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よしたに: ぼく、オタリーマン。

今さら読んだ。面白い!!
しかし、オタクというより単に内気な人じゃないかな。ガンダムネタなんて、IT系の会社なら当たり前(?)だし。結局、アニオタなのかゲーオタなのかパソオタなのか分からなかった。

ちなみに私は、自他共に認めるゲーオタです(アーケード専門)。(☆☆☆☆)

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村上春樹: 村上朝日堂

前に読んだと思っていたのだが、立ち読みしてみるとどうも記憶にない。ので、捕獲してみた(図書館で借りただけだが)。
じっくり読んでみたが、やはり未読。「村上朝日堂はいほー!」の方は読んでたから、その誤解だな。

「そういうのを聞くと、そーか、ふむ、親心であるのか、と椎名誠風に感心しちゃうわけだけど(略)」と突然言及されているのが、シーナファンの私としてはちょっと面白かった。内容も正しいハルキ風エッセイという感じでマル。
あと、ビーフカツレツとウィンナ・シュニッツェルの話が良い。食べてみたくなった。(☆☆☆☆)

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赤木智弘: 若者を見殺しにする国 - 私を戦争に向かわせるものは何か

"「丸山眞男」をひっぱたきたい 31歳フリーター。希望は、戦争。"
で一躍有名となった著者の本。ちなみにその本文は、著者のサイト(「丸山眞男」をひっぱたきたい)で読むことができる。
前からこの本は読もうと思っていたが、やっと読了。

細かい部分には山ほどツッコミを入れるべき点はあるが、しかし著者の「右肩上がりの時代を長くぬくぬくと生きてきた世代が、社会に出た時にはバブルが弾けてて何にも美味しい思いをしていない若者世代に全てを押しつけている」という主張には全面的に賛成だ。全力で応援したい

本文から引用:

バブル崩壊以降に社会に出ざるを得なかった私たち世代(以下、ポストバブル世代)の多くは、これからも屈辱を味わいながら生きていくことになるだろう。一方、経済成長著しい時代に生きた世代(以下、経済成長世代)の多くは、我々にバブルの後始末を押しつけ、これからもぬくぬくと生きていくのだろう。なるほど、これが「平和な社会」か、と嫌みのひとつも言いたくなってくる。

団塊オヤジ達は、「オレ達が若い頃に必死になって働いて日本を支えてきた」とか言うけどさ。
そりゃ、30年以上も右肩上がりの好景気という世界でも非常に稀な経済状態で、何も考えずに働いていれば給料も株も会社の規模もどんどん大きくなることが保証されてた時代なら、そりゃマジメに働くでしょ。しかも金利も高く、もらった給料を定期預金にしておくだけで年利10%とか付いてたんだし。
そんな状態でがっつり稼いでさんざん美味しい思いをしてきたくせに、バブルが弾けた途端に「年金寄こせ、若者からもっとむしり取れ、オレ達は被害者だ」とは、本当にムシが良すぎる。

もし私が今、老人なら、「今は日本全体が苦しいんだから。老人ばっかり優遇する政策じゃなくて、年金は少しくらい減ってもいいから、子どもと若者に回してくれ」って言うと思うけどな。どうせ先行き短いんだし。
しかし私は、そのような殊勝な発言を老人から聞いたことは一度も無い。いやはや。

っつーことで、日本全体、みんなが読んで欲しい本。中高年はもちろん、若者も「分断統治」されて敵が見えてない人が多いからな。(☆☆☆☆☆)

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藤井孝一: 週末起業

サラリーマンを辞めずに、まずは週末で何かやってみようというお話。
心構え的なことから実現への色々なヒント、税金の実務など一通りの流れが紹介されている。

こーゆービジネス書にありがちな、変なイヤミっぽさが無くて良い。
まぁあくまできっかけ作りの一冊だし、色々とツッコミ所も多いけど、なかなか面白く読めた(☆☆☆)

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細川貂々: ツレがうつになりまして。

夫が鬱病となった漫画家さんの記録。
変に重苦しい話ではなく、かといって内容も決して軽くない。さらりと読めたけどなかなか面白かった。

しっかし、日本人はもっと、イタリア的ないい加減さを身につけるべきだね(☆☆☆☆)

ツレがうつになりまして。
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カメラマンのバッグの中身

カメラに興味があったので図書館で借りてきた。
色んな方の色んなカメラバッグとその道具。とりあえずパラパラと気軽に読める(☆☆☆)

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赤城 耕一: カメラ至上主義!

カメラ初心者なので読んでみた。あまり固くなく、カメラについて語ってくださる。
キヤノンとニコン:二大
ミノルタ:アマチュア向き
ペンタックス:老舗
オリンパス:マクロ
コンタックス:ブランド
らしい。ライカも渋くていいな

ペンタックスMZ-3がカッコいいな。しかしボディがプラスチックなのが欠点か(☆☆☆☆)

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高島俊男: 漱石の夏やすみ

漱石の旅行記「木屑録」を題材に、色々と語って下さる。
木屑録から漱石と子規の交流などが興味深いが、著者の「漢文」に対する文章も非常に興味深かった。

内容は非常に濃くて深いけど、とても読みやすく書かれている。オススメ。(☆☆☆☆)

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小説新潮 2008年 07月号 [雑誌]

山本周五郎賞特集で、伊坂幸太郎へのインタビュー有り。色々と共感。
あと銀行員の話「窓口戦争」(江上剛)が面白かったか。しかし私は銀行で働くのはムリだな。

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林望: 書斎の造りかた

男は書斎を持とう……という、エッセイ的なハウツー本。
ビジネス本は大嫌いなのだけど、部屋作りなど色々と参考になるところがあったな。せっかく趣味をやるなら、週末などではなく毎日10分でもいいから続けようというのにも同意。(☆☆☆)

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出久根達郎: セピア色の言葉辞典

デクネさんが、様々な言葉を取り上げて語ってくださる。「うじゃじゃける」って初めて聞いた。
気楽に読めて、教養も増す一冊。(☆☆☆)

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梅原淳: 鉄道不思議読本

鉄道の小ネタ集という感じ。
他の同系列の本に比べると、結構しっかりしているな、という印象。

駅舎の時計をどうやって合わせるのか、言われるまで気が付かなかった。(☆☆☆)

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筒井康隆 :銀齢の果て

老人版の「バトル・ロワイヤル」。老人相互処刑制度により、地区内で殺し合うご老人達のお話。
なかなか面白かったけど、筒井康隆ならばもうちょっとぶっ飛んだ内容が欲しかったかなぁ。筒井作品ということで、厳しめに星3つ。(☆☆☆)

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中島らも: 心が雨漏りする日には

中島らもの、鬱病体験記という感じ。
あんまり、らもさんらしくない本だけど、ちょっと疲れた時にはちょうどいい。面白いという言葉にするとちょっと失礼だが、しかしなかなか面白かった。

いやはや、しかし惜しい人を亡くしたもんだ。(☆☆☆☆)

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西野弘章: はじめての釣り超入門

釣りに興味があったので、図書館で借りてみた。
いちおー田舎に帰ると、港で小アジのサビキ釣りはするのだが、実はあんまり詳しくないのだ。

初心者にも一通りの知識が身に付くし、なかなか分かりやすい本だった。変にイヤミっぽい所が無いのも○。(☆☆☆☆)

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A. チェリー=ガラード: 世界最悪の旅

南極点到達を目指したスコット隊の記録。
著者は実際にサポート隊として参加しており、様々な記録が実に生々しい。

サスツルギというものをはじめて知った。テントを張る際は、このサスツルギの風下にテント入口が来るようにすると良いらしい。
次はアムンセン隊の本も読んでみよう(☆☆☆☆)

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とりかへばや物語 1 春の巻 (1)

以前にBOOK OFFで100円で捕獲しておいたのを読んでみて、ぶっとんだ。これは面白い!!
古典文学として棚に飾っておくだけでは、実に勿体無いぞ。

物語は、女性の心を持ち女としてふるまう兄と、男として生きるその妹のありようを描いた平安時代のお話であるのだが、どことなくユーモラスでかつ悲しみ溢れるその描写は、そこらの少女マンガではとても太刀打ちができない素晴らしさ。
これ、現代でもそのまま通用する、実に先進的な物語だよね。ひょっとしたら、21世紀の現代人が平安時代にタイムスリップして作ったんじゃねーかな(妄想)。

全4巻らしいので、次巻の[夏]を探索中。(☆☆☆☆☆)

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サー・アルフレッド・メヘラン: ターミナルマン

パリのシャルル・ド・ゴール空港で16年過ごしている男の話。
なかなか面白かったけど、変に小説めいて書く必要はあるのかなぁ。ノンフィクションでは無い。(☆☆☆☆)

ターミナルマン
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