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毛利衛: 宇宙からの贈りもの

宇宙飛行士として有名な、毛利衛氏の本。
1992年と2000年の2度のミッションを軸に、宇宙飛行士の訓練体験記・宇宙船内での生活や科学実験に加えて、宇宙で考えたこと・現在の科学教育に至るまで色々と語ってくださる。

実験内容については、難しい内容を分かりやすく語るという点では天才的で、基礎的な物理知識を持たない文系の人でも全く問題なく理解できるだろう。
InSbの単結晶を作る際、表面の酸化皮膜が地上とは違ってむしろプラスに働く、というのは非常に面白かった。

また、宇宙で考えたことについても、色々と鋭い洞察が多い。安易な科学技術礼賛でもなく、かといって科学技術へのありがちな批判でもない。
窓もろくに開かないビルで、空調の効いた部屋に住む現代人は、まるで月や火星に移住する訓練をしているようだ……という一節は、「なるほどー」と頷くものがあった。

っつーことで、非常に面白い本であった。大人のみならず、子どもにも是非読ませたい本。おすすめ。(★★★★★)

宇宙からの贈りもの (岩波新書)
毛利 衛
岩波書店 (2001/06)
売り上げランキング: 46258

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