綾辻行人: 十角館の殺人
(激しくネタバレがあります)
なんか前にも書いた気がするが、私は新本格ミステリと言われるこの辺の本は、非常に未読が多い。
が、とりあえずほとぼりも冷めてるだろうと読んでみた。
物語は、クリスティの「そして誰もいなくなった」をモチーフにしたもの。
中盤までは非常に面白く読めたものの、終盤〜エピローグがあまりにおざなりで気が抜けてしまった。あの状態で、エラリイがあんなにあっさりとコーヒーを飲むだろうか? 作者が、単に書くの(と考えるの)に疲れたから、あんなに超特急なんじゃないかと思えてしまう。
「そして誰もいなくなった」の、あの最後の一行まで全く気が抜けない緊張感溢れる文章に比べると、やはり弱く感じてしまった。
しょっぱなから部屋にこもって出てこなかったり、事前に島に来てたりして時間的に余裕が一番あることから、犯人はヴァンだろうと予想はしていた。(ついでに、最初に殺されるのはオルツィだと予想していたが、これは完全的中!)
しかし、ヴァンがすなわち、島外の守須だということには思い至らなかったな。うーむ、半負け。
結局のところ私は、「やっぱり『そして誰もいなくなった』は傑作だったねぇ」という身も蓋もない結論に達してしまいましたな。でもまぁ、中盤終了までは非常に面白かったので星4つ。(★★★★)
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