熊沢誠: 若者が働くとき - 「使い捨てられ」も「燃えつき」もせず
若者の労働形態について様々なデータを引用しつつ、色々と語ってくださる。
ただ、私が読んだのは初版だからなのかなんなのか、誤字脱字というレベルを通り越して文脈的にも破綻してるおかしい文章がちらほら。そこがまず気になった……。
んで、著者の主張をとりあえずまとめると、
・今、若者の労働環境はあまりにヒドい。フリーター・ニート問題を若者に押しつけるのは間違っている
・でも若者も、あまりに雇用者に従順すぎないか? 労働組合を使ってもっと労働環境の改善に努力しなさい
・学校教育でもっと労働への道しるべを示さないとダメだよ
って感じか。
パラサイトシングルについても語ってくださるが、この著者はパラサイトについては考えが浅すぎる。パオロ・マッツァリーノの「反社会学講座」を読むべきだね。
著者の考え方で一番気になるのは、(本文中ではっきり述べはしないが)、人生の目的は働くことにあり、あらゆる学習は労働への目的として行うのだ(働くために人間は生きているのだ)……という点。
そもそも私は、昔からずっと「人間が働かずに生きていくにはどうすればいいのか」ということをずっと考えている人間なので、何故に著者がこういう考えをするのかが全く理解できん。
またそのために著者は、学校で職業教育を重視せよというわけだが、私はこれにはまったくの反対意見を持つ。
今の日本の雇用形態ではリカレント教育なんてあり得ないんだし(一度就職したら、大学に戻るのはすなわち「落伍者」もしくは「はみ出し者」のようだ)、職業教育なんてものは会社に入った後で何十年も、いくらでもできる。
だからこそ、特に若いうちには、むしろ職業教育的な所から一番遠い純粋に学問的なことをやるべきなのである。会社での仕事の進め方、なんてくだらないことは大学でやるべきことではない。入社してからいくらでも学べるんだし。
まぁそんな感じで、色々と学ぶべきところもあったけど、色々と気になる点も目に付いたのでとりあえず星3つというところ。(★★★)
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