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2007年12月

本山美彦: 姿なき占領 - アメリカの「対日洗脳工作」が完了する日

規制緩和の名の下になされた政策のダメダメさを、色々と語ってくださる。
郵便局の民営化(特に「かんぽ」の民営化)や国立大学の廃止は、天下の愚作と考える私としては概ね主張には同意であった。

しかし、行間から私怨のようなものがにじみ出てきて、あまり読み物としてはふさわしくない。なんか団塊オヤジがギャースカと騒いでいるようで、もう少し若い人向けの読み物にして欲しいところ。
こういう主張は、若い人に向けるのが一番大事なんだし。(★★)

姿なき占領 - アメリカの「対日洗脳工作」が完了する日
本山 美彦
ビジネス社 (2007/01)
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東海林さだお: ヘンな事ばかり考える男 ヘンな事は考えない女

座禅、筆記具史、アイボ、シャベルなど。昭和のくらし博物館は行きたくなった。
「威厳というものが、いかにつくられたものであるかということが、スリッパ一つで証明されるのだ。」には唸らされる。(★★★)

ヘンな事ばかり考える男 ヘンな事は考えない女 (文春文庫)
東海林 さだお
文藝春秋 (2005/10/07)
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谷川流: 涼宮ハルヒの分裂

いわゆる新展開という奴なのだろうが、急にシリアスなシーンが多くなってしまっていまいち楽しめない。
シリーズ中でも一番面白くなかったなぁ。

いくつか仕掛けは見えるものの、前半で伏線だけ書いて終わってしまったという感じ。並列世界をあとで辻褄合わせるというオチなのかしらん。トンネル効果とか出てきたから、量子力学的なありふれたSFネタに落とさないで欲しいなぁ。
それより心配なのは、広げた大風呂敷を後半でちゃんとまとめられるのかなぁという所か。(★★)

涼宮ハルヒの分裂 (角川スニーカー文庫 168-9)
谷川 流 いとう のいぢ
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谷川流: 涼宮ハルヒの憤慨

今回は、文芸部活動を行う「編集長★一直線!」と、犬にまつわる幽霊話の「ワンダリング・シャドウ」の中編2本。

文芸部活動の方はいかにも学園物という感じでなかなか面白かったものの、犬の方はSFとしてあまりに小さく話がまとまりすぎていてちと不満。
まぁでも、シリーズ物としてうまく定着してきた感はあるやね(★★★)

涼宮ハルヒの憤慨 (角川スニーカー文庫)
谷川 流 いとう のいぢ
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東海林さだお: ケーキの丸かじり

丸かじりシリーズの16。今回はお題のケーキや、かっぱえびせん、ホテルのコロッケ、タイタニックの食事など。
しかし、ホテルのコロッケすごいな。1600円って。たぶん私は、一生食べないだろうな。(★★★)

ケーキの丸かじり (文春文庫)
東海林 さだお
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東海林さだお: 明るいクヨクヨ教

今回は築地魚河岸見学ツアー、さつま揚げ、松茸三昧、西瓜をめぐる冒険など。いつも通り、さらりと読めるエッセイ。
秋田の話を読んでいると、ウマそうなもんばっかりじゃのぅ。そういえば私は、しょっつる鍋もきりたんぽも、いぶりがっこもとんぶりも、未だに食べたことが無い。経験しないといかんな。(★★★)

明るいクヨクヨ教
明るいクヨクヨ教
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東海林 さだお
文藝春秋 (1999/02)
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宇沢弘文: 自動車の社会的費用

岩波新書の一冊。
戦時でもないこの日本で、「(自動車により)歩行者はたえず生命の危険にさらされている」というのは、今さらながら心に留め置くべき考えだろう

主に自動車の外部不経済について語ってくださるわけだが、1974年に書かれた本だというのに驚く。読んでみると、内容としてはまったく古くなっていないからだ。
まぁそれはすなわち、道路行政の失態がこの30年間何も変わっていないという証拠でもあるわけだが……。

常々、自家用自動車の所有は原則的に法律で禁止するべきだと思っている鉄オタの私としては、主張の正当性に色々と勉強させられる本であった。
ただ、後半は経済学の知識が無いとキツいので、私はほとんど理解できんかった。今度読み直そう。(★★★★)

自動車の社会的費用 (岩波新書 青版 890)
宇沢 弘文
岩波書店 (1974/01)
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ルーディ・ラッカー: ソフトウェア

前々から読もう読もうと思ってはいたのだが、ようやく手を出して読んでみた。
元・天才ロボット科学者のコッブが、月に住むロボットから恩返しを受ける……と思いきや、ロボット同士の抗争に巻き込まれててんやわんやのSF小説。

「ビー=バッパ=ルー=ラー」のパスワードやハッピィ外套など、なかなか面白いネタが多く楽しかった。
ただ、いささか読みにくい部分も結構あり、想像していたような「SF」とはちょっと違ったな。(★★★)

ソフトウェア (ハヤカワ文庫SF)
ルーディ ラッカー 黒丸 尚
早川書房 (1989/10)
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谷川流: 涼宮ハルヒの陰謀

今回は、長編のタイムトラベルSF。八日後の未来からやってきた朝比奈みくるとのお話。

筋書きとしてはこの系のSFとしては古典的で、未来からの指示に従って現在の歴史を正しく整えていく……という類のものであり、特に目新しさはない。
だがしかし、最後まできっちり楽しく読ませるのは、やはりこの作者の筆力というべきか。

ただ、全体としては小ネタの連続という感じで、あんまり衝撃的なものはなかったかな。最後にすごいどんでん返し、みたいのを期待してたんだけど。(★★★)


谷川流: 涼宮ハルヒの陰謀
谷川流: 涼宮ハルヒの陰謀
角川スニーカー文庫

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村上春樹: 東京奇譚集

短編集。
しかしどれも佳作という感じで、あんまり面白くなかったなぁ。微妙だった(★★★)

東京奇譚集
東京奇譚集
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村上 春樹
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熊沢誠: 若者が働くとき - 「使い捨てられ」も「燃えつき」もせず

若者の労働形態について様々なデータを引用しつつ、色々と語ってくださる。
ただ、私が読んだのは初版だからなのかなんなのか、誤字脱字というレベルを通り越して文脈的にも破綻してるおかしい文章がちらほら。そこがまず気になった……。

んで、著者の主張をとりあえずまとめると、
・今、若者の労働環境はあまりにヒドい。フリーター・ニート問題を若者に押しつけるのは間違っている
・でも若者も、あまりに雇用者に従順すぎないか? 労働組合を使ってもっと労働環境の改善に努力しなさい
・学校教育でもっと労働への道しるべを示さないとダメだよ
って感じか。
パラサイトシングルについても語ってくださるが、この著者はパラサイトについては考えが浅すぎる。パオロ・マッツァリーノの「反社会学講座」を読むべきだね。

著者の考え方で一番気になるのは、(本文中ではっきり述べはしないが)、人生の目的は働くことにあり、あらゆる学習は労働への目的として行うのだ(働くために人間は生きているのだ)……という点。
そもそも私は、昔からずっと「人間が働かずに生きていくにはどうすればいいのか」ということをずっと考えている人間なので、何故に著者がこういう考えをするのかが全く理解できん。

またそのために著者は、学校で職業教育を重視せよというわけだが、私はこれにはまったくの反対意見を持つ。
今の日本の雇用形態ではリカレント教育なんてあり得ないんだし(一度就職したら、大学に戻るのはすなわち「落伍者」もしくは「はみ出し者」のようだ)、職業教育なんてものは会社に入った後で何十年も、いくらでもできる。
だからこそ、特に若いうちには、むしろ職業教育的な所から一番遠い純粋に学問的なことをやるべきなのである。会社での仕事の進め方、なんてくだらないことは大学でやるべきことではない。入社してからいくらでも学べるんだし。

まぁそんな感じで、色々と学ぶべきところもあったけど、色々と気になる点も目に付いたのでとりあえず星3つというところ。(★★★)



熊沢誠: 若者が働くとき - 「使い捨てられ」も「燃えつき」もせず
熊沢誠: 若者が働くとき - 「使い捨てられ」も「燃えつき」もせず
ミネルヴァ書房

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司馬遼太郎: アームストロング砲

実は私は、ほとんど司馬遼太郎を読んだことがない。
が、さすがにマズかろうと図書館で借りてきた。

大坂のばくち打ちの話「侠客万助珍談」と、表題作の「アームストロング砲」が面白かったな。(★★★★)


司馬遼太郎: アームストロング砲
司馬遼太郎: アームストロング砲
講談社文庫

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矢野健太郎: 角の三等分

幾何学で有名な「角の三等分」にまつわる色々なお話。
初版は昭和18年らしいが、古さは全く感じられない。後半は専門的な解説がついており、数学書としても十分。(★★★★)

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綾辻行人: どんどん橋、落ちた

純粋に「読者への挑戦」をネタとしたミステリ小説集。

冒頭の「どんどん橋、落ちた」(ちなみに言わなくても分かると思うが、タイトルは"London bridge is falling down"が元ネタ)は、まさにアンフェアぎりぎりの所を突いてくるトリックで、すっかりやられてしまった。
他の作品もパズル的な読み物で、なかなか面白い。

ただ、後半になるにつれてイマイチになっていくなぁ。特に「伊園家の崩壊」は、叙述トリックの部分はいいんだけど、密室トリックは綾辻らしからぬ穴の大きいネタだと思う。
あんなに上手く、思った通りに猫が行動するかどうか分からないんだし、成功確率にしたら30%くらいしか無いんじゃないかな?(★★★★)


綾辻行人: どんどん橋、落ちた
綾辻行人: どんどん橋、落ちた

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東海林さだお: もっとコロッケな日本語を

「挨拶はたくさん取りはずすほど丁寧になる」は、まさに目から鱗が落ちた。
やはりこの人は、とぼけているようでスゴいな。(★★★★)


東海林さだお: もっとコロッケな日本語を
東海林さだお: もっとコロッケな日本語を

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白石忠夫: 世界は脱クルマ社会へ

排ガスによる大気汚染とCO2問題を主とした、クルマ社会への提言。

シンガポールでは、もうとっくにクルマ台数の総量規制が導入されていて、国として自動車数の上限を設定しているというのにはビックリ。全く知らなかった。

ただ、色々とデータを出してくれてなかなか説得力はあるのだが、単純に読み物として読むにはあまり向かない本やね。(★★★)


白石忠夫: 世界は脱クルマ社会へ
白石忠夫: 世界は脱クルマ社会へ

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A.A.ミルン: 赤い館の秘密

(ネタバレを含みます)












ミルンといえば"Winnie-the-Pooh"なわけだが、推理小説も一作だけ書いていたらしい。知らなかったー。それが本作。
日本語版はいくつか版が出ているが、私は1962年の角川文庫版を読んだ。訳者は、古賀照一氏。

「赤い館」で失踪した主人マーク・アブレットと、殺されたマークの兄ロバートの謎を解くことが本作のキモ。
少しずつ謎を出しては、少しずつ解決していくという話の流れなので、非常に読みやすい。探偵のアントニイもいい味出してる。

ミステリとしては……ロバートが実はマークだとは結構最初に予想したのだが、しかし誰か死体をよく調べるだろと思って勝手にその解を消してしまった。
いくらなんでも、警察が検死すれば、あのくらいの変装はバレないかね? しかし、窓を開けるのを忘れていたとかあの辺は、よく考えてるねぇと唸る面白さだった。

まぁところどころに疑問に思うところもあったけど、なかなか面白い本だったよ。(★★★★)

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谷川流: 涼宮ハルヒの動揺

涼宮ハルヒシリーズの第6弾。
短編集で、今までの長編小説の、合間エピソードの紹介という感じ。

しかし、本作は今までに比べると随分とパワーダウンしている感が否めない。特に文化祭でハルヒが歌うお話「ライブアライブ」は、はっきり「つまんないなぁ……」と思ってしまったよ。

どうもこの「動揺」は、出来上がったキャラクターに頼りすぎで、ストーリーがおざなりに過ぎた気がするな。今まで読んだハルヒシリーズでは、一番つまらなかった。それでもまぁ、普通に星3つで。(★★★)

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綾辻行人: 十角館の殺人

(激しくネタバレがあります)










なんか前にも書いた気がするが、私は新本格ミステリと言われるこの辺の本は、非常に未読が多い。
が、とりあえずほとぼりも冷めてるだろうと読んでみた。

物語は、クリスティの「そして誰もいなくなった」をモチーフにしたもの。
中盤までは非常に面白く読めたものの、終盤〜エピローグがあまりにおざなりで気が抜けてしまった。あの状態で、エラリイがあんなにあっさりとコーヒーを飲むだろうか? 作者が、単に書くの(と考えるの)に疲れたから、あんなに超特急なんじゃないかと思えてしまう。
「そして誰もいなくなった」の、あの最後の一行まで全く気が抜けない緊張感溢れる文章に比べると、やはり弱く感じてしまった。

しょっぱなから部屋にこもって出てこなかったり、事前に島に来てたりして時間的に余裕が一番あることから、犯人はヴァンだろうと予想はしていた。(ついでに、最初に殺されるのはオルツィだと予想していたが、これは完全的中!)
しかし、ヴァンがすなわち、島外の守須だということには思い至らなかったな。うーむ、半負け。

結局のところ私は、「やっぱり『そして誰もいなくなった』は傑作だったねぇ」という身も蓋もない結論に達してしまいましたな。でもまぁ、中盤終了までは非常に面白かったので星4つ。(★★★★)


綾辻行人: 十角館の殺人
綾辻行人: 十角館の殺人
講談社文庫

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ルーディ・ラッカー: ラッカー奇想博覧会

ラッカーの短編集&エッセイ。

短編は玉石混合という感じで、あんまり面白くないのも多かったな。良く言えば「余韻が残る」、悪く言えば「中途半端」。
が、「宇宙の恍惚」だけは異常にクオリティ高い。こいつは超傑作SF短編だ!! 訳も大森望で、すんばらしい。(★★★)

ラッカー奇想博覧会
ラッカー奇想博覧会
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ルーディ ラッカー Rudy Rucker 黒丸 尚
早川書房 (1995/07)
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