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2007年11月

竹宮惠子: 風と木の詩

会社のOK氏から借りて読んだ。フランスの学院を舞台とした、少年愛情物語(でいいのか?)。
ヘッセの「車輪の下」を、もっとワイルドに広げた感じかな。ハンスがセルジュで、ハイルナーがジルベール。

しっかしジルベールは、本当にどうしようもないアホだな(褒め言葉)。食事を自分で作るのなんかイヤだよと拒否する所は、今まで読んだマンガの中でもかなりのムカツキ度シーンであった。あいつは海原雄山に一度殴られた方がいい。
まぁ他にも、パスカルはいい奴過ぎて素晴らしいとか、ロスマリネはあの髪だと朝起きて大変だろうとか、ボナールのシルクハットとか、ツッコミ所は色々あるのだが、いやしかし面白いマンガであった。おすすめ。

ちなみに私としては、そばかすメイドのジャンヌがイチオシだな。チョイ役なので、ほとんど出てこないけど。あのメイド服は、キャルティエカチューシャでかなりグレードが高い。(★★★★)

風と木の詩 (1)
風と木の詩 (1)
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竹宮 惠子
中央公論新社 (2002/07)
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槌田 劭: 地球をこわさない生き方の本

タイトルからだいたい想像できる通り、大量浪費な現在の社会を「金主主義」と呼び、環境問題について考える啓蒙本。
主張の大筋はとても共感できるし、内容も様々なデータを駆使して社会の矛盾を明らかにするという意味でなかなか良いのだが、色々と先走りすぎていてトンデモ本的な様相を時々見せてしまうのも確かなところ。

そもそもこの主張通りなら、超浪費大国のアメリカ合衆国は悪の帝国で、植民地政策によって帝国主義時代を作り上げたヨーロッパ諸国は諸悪の根源のはずなのだが、何故か、
「欧米は優れているし環境問題もOKだし超イケてるし素晴らしィィ!! それにひきかえ、日本は本当にダメでゴミでクズでどうしようもないィィ!!」
という結論になってしまうのが激しく意味不明。しかもその後、必死こいてアジビラの如き批判を延々と書き連ねるし。こんなに自虐的でネガティブな内容じゃ、読者はついてこないよ。

素直に自説の主張と論理展開をすればいいのに、変に偏った政治思想を一緒に押しつけようとするもんだから、いっぺんに本自体が胡散臭くなるんだな。台無し。

っつーことで、主張自体はいいものの、あんまり子供には読ませたくない本ですな。
鉄オタでクルマ嫌いでコンクリートジャングル大嫌いな私としては、タイトルには共感できたんだけどねぇ。(★★)


槌田 劭: 地球をこわさない生き方の本
槌田 劭: 地球をこわさない生き方の本
岩波ジュニア新書

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グレッグ・イーガン: 宇宙消失

量子力学SF、という感じだろうか。
一言で言えば、「多くの固有状態の中から、自分に都合のいい状態を選択できたらすごくね?」となる。最初から最後までこれなので、あまり語ることもないな……。
最後はみんなL.C.L.になって溶け合っちゃって(違)、人類補完計画が完了したね。あのエピローグは蛇足だと思う。人類補完計画が完了してEND、でいいのに。

人間が宇宙の観測によって多くの可能性を引き裂いてきた……ってのは確かに目ウロコで「おおおっ!!」と思ったけど、それ以外はあんまり面白くなかったなぁ。
もっと壮大で痛快なストーリーかと思ってたんだけど、思いついた一つのアイディア(人間による固有状態の操作)をただ膨らませただけって感じで、ちと不満。

こういうこと言うとまた呆れられそうだが、谷川流が同じテーマで涼宮ハルヒシリーズとして書いた方が、100倍くらい面白くなりそうな気がする。(★★★)


グレッグ・イーガン: 宇宙消失
グレッグ・イーガン: 宇宙消失
創元SF文庫

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藤田敏夫: 恐るべき自動車排ガス汚染

自動車排ガスを中心に、大気汚染について色々と語ってくださる。
様々なデータを見せてくれて信頼感はあるものの、やはり合同出版の本だけあっていかにもなサヨク臭がするのは気になるね。
しかしまぁ鉄道オタクでクルマ嫌いの、肺病持ちの私としては、自動車の総量規制とか自動車メーカーは大気汚染の責任を取って少しは金を出せよというのには大賛成。

後は、まぁこういう本のほとんどに言えることだが、ただ反対するだけじゃなくてもっと建設的な対案・折衷案を出して欲しいところ。
それと、自動車の外部不経済についてもきちんと説明して欲しかったな。何故自動車があんなに売れているのかを経済学的に言えば、それは大気汚染と交通事故によって生じる医療費の増大・道路建設メンテナンスコストが内部化されていないため、本来の市場価格より安くなっているためなのである。自動車メーカーがそれらコストの負担をするようになれば、外部不経済は解消されるのだ。

あと、なんかあまりにも誤字脱字が多いのも気になったな。「東京電気大学」とか、大学名すら間違えてるし。
(★★)

藤田敏夫: 恐るべき自動車排ガス汚染 - 環境と健康を破壊するクルマ社会
合同出版

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城山三郎: 毎日が日曜日

最初に言っておくけど、このタイトルを見て大多数の人が想像するようなストーリーではない。
私も引きこもりのニート話かと期待して読み始めたのだが、バリバリのサラリーマン小説でちょっと凹んだ。商社会社で働きまくってて、全然日曜日とちゃうやん!!

しかし期待とは違ったものの、ガマンして読み進めるうちに「これはこれで面白い!(失礼)」と一気に読んでしまった。やはりダメリーマンの私としては、色々と考えてしまう所もある小説だったやね。終盤の綿花の廃棄処分で奔走する場面など、もうこれほどには無いというくらいリアルで悲哀すら感じる。
若い人も定年間近の人も、何かしら得る物があるだろう作品だ。リーマンなら読んでおくべき。(★★★★)


城山三郎: 毎日が日曜日
城山三郎: 毎日が日曜日

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太田和彦: 超・居酒屋入門

いきなり勘違いしていたのだが、椎名誠氏のエッセイに良く出てくる「池林房」の太田氏の本かと思ったら全然違った。あっちは太田篤哉氏なのね。
また、タイトルからして居酒屋経営の本かと思ったら、居酒屋に通う客としての入門であった。二重に勘違い。

内容としては、「居酒屋に行こう・酒を飲もう」という問いかけから、日本酒のウンチク・酒の肴・居酒屋での(粋な)作法についてを、つらつらと軽快に語って下さる。文章は決して嫌味な所が無く、なかなか面白かった。
読んでいると酒が飲みたくなるね。

ただ、この本のターゲットは、明らかに最近定年退職したぐらいのおっさんのみやね。私のような若い(ぷ)人間が読むもんじゃなかった。
まぁ、性格のひねくれた団塊ジジイが、この本を読んで少しは「粋」に生きてくれることを願うものです(★★★)


太田和彦: 超・居酒屋入門
太田和彦: 超・居酒屋入門
新潮文庫

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谷川流: 涼宮ハルヒの暴走

「エンドレスエイト」「射手座の日」「雪山症候群」の3作が入った短編(一部中編)集。

うーん、しかしこの作者は本当にウマいなぁ。ストーリーはいかにも一本道で、SF的にもライトノベル的にも大したひねりは無いのだが(失礼)。場面場面での描写とセリフ回し、そして主人公・キョンの独白が素晴らしく、あっという間に読み終えてしまった。

まぁしかし、ニヤニヤした程度で終わってしまったので星4つで。もっとガツンと来てくれれば星5つなんだがな。(★★★★)


谷川流: 涼宮ハルヒの暴走
谷川流: 涼宮ハルヒの暴走
角川スニーカー文庫

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アラン・ムアヘッド: 白ナイル - ナイル水源の秘密

筑摩書房刊。ナイル川の水源を探した探検家達の歴史をまとめたもの。後半は、アフリカを舞台とした各国の政争という感じだけど。
ちなみにこの本は既に絶版だが、有名な本だったので図書館で検索すればだいたい所蔵している。

名作ということで手を出したのだが、何しろ8ポ二段組みで行間もびっしり詰まった300ページ以上の本、読み終わるのに2ヶ月近くもかかってしまった。へとへと。

続編に「青ナイル」があるらしいが、さすがにもう力尽きてしまったのでパスっす。(★★★)

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須川邦彦: 無人島に生きる十六人

椎名誠のエッセイで面白い面白いと言われていたので、読んでみた。ちなみに解説も椎名誠で、氏の働きかけで復刊したらしい。
明治時代に太平洋上で漂流し、無人島での生活の後に十六人全員が無事帰還した漂流記。

流石は氏が絶賛するだけのことはあり、非常に面白かった。とにかく明るく前向きなのが良い。最初に作る島の決まりも、「四つ、愉快な生活を心がけること」とか素晴らしい。
なんつーか、現代日本の陰湿な性格な、グチグチとうるさいことしか言わずに他人を批判することしか考えない輩ども全てに読ませてやりたい本だ。おすすめ。(★★★★)

無人島に生きる十六人 (新潮文庫)
須川 邦彦
新潮社 (2003/06)
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井上ひさし: 本の運命

井上ひさしの、本に対するエッセイ。
半生を振り返るという感じで、「モッキンポット師の後始末」や「下駄の上の卵」の創作背景がかいま見えてなかなか面白い(★★★★)


井上ひさし: 本の運命
井上ひさし: 本の運命
文春文庫

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谷川流: 涼宮ハルヒの消失

なぜ涼宮ハルヒシリーズがSF業界を騒がせていた(?)かが、やっと分かった。確かにハルヒは、SFだ!!
特にこの作品は、ハヤカワSF文庫に入っていてもおかしくない正統派で(ちょっと言い過ぎか……?)、自称SF野郎の私も大変に楽しめた。

題材としては、ある日突然の世界の変異→自分が知っているはずの「元の世界」を探し求める……というSF業界でも使われすぎて手あかまみれのコテコテなストーリーなのだが、そこをぐいぐいと引き込んでいく筆力はやはり流石としか言いようがない。
せめて長門だけは自分のことを覚えていてくれてるだろう……というくだりは、読んでいるこちらもドキドキするという久々の感情を思い出させてくれた。

まぁただ、最後は自分を助けるために過去へとタイムトラベル……っつーのはいくらなんでも古典的ベタベタすぎやね。もう21世紀なんだし、涼宮ハルヒシリーズなんだし、一ひねり欲しかったトコロ。
そなかじで面白かったけど、SF野郎としては随所に不満も残るので、星4つで。(★★★★)


谷川流: 涼宮ハルヒの消失
谷川流: 涼宮ハルヒの消失
角川スニーカー文庫

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メイ・サートン: 猫の紳士の物語

猫好きのための猫小説、と言って良いであろう小説。「もう一度彼は網戸を引っかき、ごく丁重にみゃおといいました。」など日本語訳もなかなか良く、読みやすい。
結構面白い本でしたな

関係ないけど、グウィンの「空飛び猫」に出てきたトム・ジョーンズは、この作品となんか関係あるのかな?(★★★★)


メイ・サートン: 猫の紳士の物語
メイ・サートン: 猫の紳士の物語
みすず書房

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J.D.サリンジャー: キャッチャー・イン・ザ・ライ

「ライ麦畑でつかまえて」の新版。訳者は村上春樹。
しかし実は、私は旧版の野崎孝訳は読んだことなかったので初見である。不勉強だ。

内容はまぁまぁ面白かったかな。しかし、当時は革新的だったのかもしれんけど、さすがに今読むとちょっと古臭く感じてしまう。
当時サリンジャーが書こうとしたテーマ自体が、今となっては懐古趣味的に読めてしまうというのは皮肉なもんだねぇ。(★★★)


J.D.サリンジャー: キャッチャー・イン・ザ・ライ
J.D.サリンジャー: キャッチャー・イン・ザ・ライ
白水社

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谷川流: 涼宮ハルヒの退屈

短編集で、「涼宮ハルヒの退屈」「笹の葉ラプソディ」「ミステリックサイン」「孤島症候群」の4つが収録されている。

んー、しかしどれも良くできた佳作という感じで、脳みそブッ叩かれるような衝撃的なものではなかったな。「いかにもライトノベル」的なわざとらしさも結構残ってるし。
でもまぁ、楽しく読めたよ。「孤島症候群」は、トリックはすぐに分かってしまったものの(一応これでもミステリ読みだからな)、なかなか面白かった。(★★★★)


谷川流: 涼宮ハルヒの退屈
谷川流: 涼宮ハルヒの退屈
角川スニーカー文庫

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金田一蓮十郎: ジャングルはいつもハレのちグゥ(1)〜(10)

全10巻をまとめ買いしてから長いこと積んでおいたのだが、今さら読んだ。
当時既にガンガンで少し読んでいたけど、やっぱり面白いね。(ガンガンを読むのはその頃にやめてしまったので、1巻のグゥが変身してクマ倒すとこまでしか読んでなかった)

しかし10巻が「ハレグゥに続きます」ってことで全く終わりになっていないのには少し不満。一区切りなんだし、これはこれで完結して欲しかったな。
一番の名場面は1巻の、グゥの「ぐら ぐら」→「おっと」。胸毛の奴。

ちなみに会社のer先輩に自信満々に貸して読ませようとしたら、「つまらん」(意訳)と返されてしまった。面白いのになぁ。(★★★★)


金田一蓮十郎: ジャングルはいつもハレのちグゥ
金田一蓮十郎: ジャングルはいつもハレのちグゥ
ガンガンコミックス

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東海林さだお, 椎名誠: ビールうぐうぐ対談

二人による対談をまとめたもの。
「なぜ料亭では缶ビールではなく瓶ビールなのか?」から始まって、東海林さだおの「とんかつ奇々怪々」で触れられていた自殺の話まであり、なかなか面白い。(★★★)


東海林さだお, 椎名誠: ビールうぐうぐ対談
東海林さだお, 椎名誠: ビールうぐうぐ対談
文藝春秋

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村上春樹: 村上朝日堂ジャーナル - うずまき猫のみつけかた

アメリカ滞在中の随筆集。
堅苦しい文章はまったくなく、気楽に読めて楽しい。収録されている写真もどれも見事。(★★★★)


村上春樹: 村上朝日堂ジャーナル - うずまき猫のみつけかた
村上春樹: 村上朝日堂ジャーナル - うずまき猫のみつけかた

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