綾辻行人, 佐々木倫子: 月館の殺人
原作:綾辻行人、漫画:佐々木倫子による、本格ミステリ鉄道オタク漫画(?)。
IKKIに連載されていた時からとびとびに読んではいたのだが、単行本を買ってようやく読了。あまりの面白さに、深夜に一人で興奮してしまった。素晴らしい!
IKKIと言えば、かの有名な「鉄子の旅」が連載されていた雑誌。当然、その編集長は「テツ」なのだ。このマンガにも、2ヶ所ほど「鉄子の旅」ネタが出てくる。(せっかく<幻夜>に乗っているのに寝るのはもったいない!! けど、せっかく寝台車に乗ってるんだから寝なきゃもったいない……!!)
各自、ニヤニヤしましょう。
内容はミステリなのであまり多くは語らないが、さすが佐々木倫子、綿密な取材と資料をもとに描いているのが一目で分かる作画。
また、随所のネタも爆笑モノで、そこらのくだらんギャグ漫画なんかよりよっぽど笑える素晴らしい作品だ。
ミステリのトリック自体はちょっと不満だったが(簡単すぎないか?)、単純に犯人を当てるだけでない構成が用意されており、決して読者を飽きさせない。
また上巻は<幻夜>それ自体のトリック当て、下巻は犯人捜しと分割されており、下巻は謎解き編に入るところで紙質が変わるので、古典的なミステリの「作者からの挑戦状(探偵役に「謎は解けた」と言わせるアレ)」を思わせる。うーん、芸が細かい!!
さらに、この本は装丁が非常に豪華。
表紙はエンボス加工で、さらにカバーを外した中表紙は、カバーとは違う絵のカラー表紙になっている。なんと贅沢!!
もう一つ、(下)の最終ページ(印刷業界でいうところの「表3」)には、黒字に黒インクで綾辻行人氏の後書きが印刷されている。これ、最初はまったく気が付かなくて、ふとした拍子に気が付いた。ここに後書きあることすら気が付かない人も多いだろうなぁ。
ってか、ちゃんと読めるものに仕上がるかも分からないのに、よくこんな印刷で出版できたもんだ……素晴らしい!!
これだけお金かかってる作りなのに、上は1000円、下は1200円だ。うーん、安いな
内容も素晴らしく面白いし、間違いなく星5つっす。いやー、日本にはいいマンガがあるね(★★★★★)
綾辻行人, 佐々木倫子: 月館の殺人
IKKI COMIX
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