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三戸 祐子: 定刻発車—日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?

ふと書店で目に留まり、買ってみた。

まぁ私は基本的にダメ人間なので、電車が遅れて怒ったという経験はあまり無い。
それは、あの几帳面なドイツですら、電車は平気で5分や10分は遅れるということを知っているからだ。

「5分の遅れすら許さないために、社会全体として(特に労働者に)とてつもなく高い負担を強いる」のが日本で、「5分〜10分遅れ程度は社会全体として許容して、その代わりに現場労働者に負担をかけない」というのがそれ以外の国なのだ。
もっとぶっちゃけて言えば、「もっとみんな、楽して生きようよ」ということになる。

長くなったが、つまり世界でも日本の鉄道だけが異常なほどに定刻なのだという認識は、常識として持つべきやね

この本は、その辺のある意味「世界的にも異常」な日本の鉄道について、過去の鉄道の歴史から、定刻発車のメカニズム・ダイヤ構成のシステム・遅れ復旧への様々な試みを詳細に述べており、大変に興味深い。鉄道に対する専門的なことから初歩的なことまで広く解説されており、分かりやすい例も多いため、読みやすさも格別だ。
鉄道オタクのみならず、ぜひ広く読んで頂きたい書物。

まぁしかし漏れとしては、たかが電車が5分遅れたくらいで大混乱になる今の日本の社会システムが根本的に間違っていると思っているので、あまり共感できない部分が多いことも確か。
5分遅れ程度が当たり前のように認められる社会になれば、もっとゆとりある国になるんだろうにねぇ(★★★★)

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)
三戸 祐子
新潮社
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