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2006年8月

吾妻ひでお: 吾妻ひでお作品集成 夜の帳の中で

「失踪日記」で一躍有名になった吾妻ひでおだが、氏のマンガ家歴はかなり長いわけで、多くの出版社が過去の作品を再版させてくれと頼みに行ったらしい。まぁ、「今までは見向きもしなかったくせに……」と昔からのファンはあまりいい感じがしないだろうけど……。
この本は、たぶんそんな過程の一冊だと思う。

1980〜1984年頃の作品が主で、氏の名作「夜の魚」「笑わない魚」も収録されており、ファンならば是非とも読んでおきたい。
ただ、前半は「少女アリス」に連載されていた作品が収録されていて、「失踪日記」でしか吾妻ひでおを知らない人がいきなり読むのは、ちょっとあまりオススメできなかったりする

ちなみに装丁や紙質はなかなか豪華で、これで1800円は安い。
まぁ、とりあえずは素直に、氏の過去の作品が再収録されたことを喜びたいところ(★★★★)

夜の帳の中で―吾妻ひでお作品集成 (LEGEND ARCHIVES―COMICS)
吾妻 ひでお
チクマ秀版社 (2006/08)
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吾妻ひでお: うつうつひでお日記

かの有名な『失踪日記』の作者・吾妻ひでお氏の日記モノ。失踪日記を執筆中の、鬱々とした生活が描かれる。
ちなみに、あまりこーゆーのに慣れていない人がいきなり読むと拒否反応を示すと思うので、まずは「失踪日記」から読むことを強くオススメする

「失踪日記」はエンターテインメントとして素晴らしかったが、こちらはより内面的な作品で、あまり読後感はすっきりとしない。
しかし、自分でも何故かは分からないが、「じん」と感動できたという意味では失踪日記よりこちらの方が上であった。まぁたぶん、私が本好きで、一日中本を読んでいる生活に憧れているからというのもあるのだろう(「本の雑誌」の目黒考二氏のように)。

そんなわけで、必ず「失踪日記」を読んでからこれを読むべしという言葉で締めくくりたい(★★★★★)

うつうつひでお日記
うつうつひでお日記
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吾妻 ひでお
角川書店 (2006/07/06)

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大野安之: ゆめのかよいじ

一部では有名な大野安之(おおのやすゆき・ヲヲノヤスマロ)氏のコミックス。以前に少年画報社から出ていたものを、角川書店から復刊されたらしい。
内容としては、地方の高校(木造で古い)に転校してきた主人公が体験する不思議な世界を描いた短編集。

まぁ大野ファンなら分かっていると思うけど、氏のコミックスはすぐに絶版になりかねないので、見つけたら買いの一手で。(★★★)


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古在由秀: ほうき星の話

昔、中学校の図書室で廃棄処分の本が出た時にもらっておいたもの。作者の方は、「こざい・よしひで」とお読みするらしい。

内容は、中高生向けに書かれた科学読本として、彗星を主に扱っている。1986年のハレー彗星が来る前に書かれた本なので、今から見るとやはり古くさい記述があるのも確か。
図が多いながらも結構計算する必要があるので、きちんと読み通すのは少し時間がかかる(★★★)


20060828houki
古在由秀: ほうき星の話
NHKブックス・ジュニア

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ピアズ・アンソニイ: 魔法の国ザンス(1) カメレオンの呪文

結構分厚く、文字数のポイントも小さくてみっしりしているので買ってからしばらくは読むのに躊躇していた
しかしいざ読み始めると、あっという間に読了。これだけみっしりしているのに全く骨が折れなかったよ

物語としては魔法物として結構ベタベタな設定なのだが(魔法の国で、唯一魔法を使えない主人公が苦難の旅を……)、それがこの作者にかかるとかくも素晴らしい小説となるのかと感心することしきり。
ところどころの描写が簡単すぎるのが気になるが(重大事件を数行で終わらせたり)、しかし全体として間違いなく良本だろう。続編もあるらしいので読まねば(★★★★)


20060826cameleon
ピアズ・アンソニイ: 魔法の国ザンス(1) カメレオンの呪文
ハヤカワ文庫FT

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安部公房: 内なる辺境

安部公房のエッセイ。かなり薄い本だけど、読み応えはなかなかある
しかし惜しい人を亡くしたものです(★★★★)

20060826uchi
安部公房: 内なる辺境
中公文庫

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佐藤さとる: そこなし森の話 - 佐藤さとるファンタジー童話集I

佐藤さとるの短編集。
昔読んだときほど楽しめなかったのは、やはりひねくれた大人となってしまったからだろうか……。

ちなみに27歳となった今、「だれも知らない小さな国」を再読してもたぶん楽しめないと思う。それが怖くて再読できないやね(★★★)


20060825soko
佐藤さとる: そこなし森の話 - 佐藤さとるファンタジー童話集I
講談社文庫

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椎名誠: 焚火オペラの夜だった

新宿赤マントシリーズの一冊。ちょうど10周年らしい
後半の一部はチベット旅行記という感じで、あまり知らないかの国の様子がかいま見えて興味深い。しかし中国の、チベットに対する民族弾圧にまで突っ込んで書いて欲しかったとは思うやね

2000年問題の記述があったりして、なかなか懐かしい(★★★)

焚火オペラの夜だった (文春文庫)
椎名 誠
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楳図かずお: 赤んぼう少女 〜楳図かずお作品集〜

楳図かずおの作品集ということで、
・赤んぼう少女
・黒いねこ面
・怪談
の3作が収められている。さらに巻末では、大槻ケンヂとの対談付き。

表題作は、かの有名(?)な、赤んぼう少女タマミの出てくる作品。
「動物のお医者さん」で、漆原教授のアメリカのお面を見て二階堂が「ぎゃっ、赤んぼう少女タマミちゃん」と発言したアレである。マンガ好きなら必読。

意外に書店で見かけることは少ないので、発見したら是非捕獲しましょう。楳図ファンなら是非。(★★★★)


20060820akanbou
楳図かずお: 赤んぼう少女 〜楳図かずお作品集〜
角川ホラー文庫

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水木しげる: 水木しげるのニッポン幸福哀歌

昭和40年代の、水木しげるの短編集をまとめたもの。

実は氏の作品は「ゲゲゲの鬼太郎」と「悪魔くん」しか読んだことが無かったのだが、この短編集は社会派(?)の作品も多く収められていて面白い。
基本は「妖怪物」なのだが、それを日常生活にからめて一つのお話に仕立てる腕は、やはり流石と言わざるを得ない

気に入った話としては、「影女」かな。最後もハッピーエンド(?)で、後味悪くないし。
角川文庫から出ているため入手も用意なので、オススメ。(★★★★)

水木しげるのニッポン幸福哀歌(エレジー) (角川文庫)
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角川書店 (2006/07)
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時雨沢恵一: キノの旅

色んなところで「良い良い」と言われ続けていたので、ヒネクレ者の私は「じゃぁ、読むのをやめよう」と思っていた(ぷ。
しかし、BOOK OFFで100円だったので捕獲してみた

内容は、一昔前のSF短編集なんかを彷彿とさせられる。主人公が毎回様々な国を訪れ、そこでの出来事を語られるというもの。
特に第五話の「大人の国」は、ジョン・クリストファーの「三本足シリーズ」にそっくりだなぁ(こういう言い方はアレだけど)。

まぁ想像していたよりは面白かったけど、SF野郎の漏れにはちょっとイマイチでした(★★★)

キノの旅―The beautiful world
時雨沢 恵一 黒星 紅白
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安部公房: 燃えつきた地図

かなり前から持っていた本なのだが、いつも途中で挫折して最後まで読むことができなかった
今回、18きっぷでJR吾妻線まで乗りに行った際に持参して、ようやく読了。

しかし、内容はやはり最後までピンと来なかったなぁ。「壁」や「箱男」に比べると、とても名作とは言えない気がする。まぁ私の読解力が足りないだけかもしれんけども……。
っつーわけで、やはりあまり楽しめませんでしたな(★★)


20060819moetsukita
安部公房: 燃えつきた地図
新潮文庫

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椎名誠: とんがらしの誘惑

新宿赤マントシリーズの一冊。ちょうどこの本で、400回を迎えている。
まぁいつもながらに気軽に読めます

ちなみに「キャタピラ虫が待っている」の回で、ワープロで執筆するようになったと書いているのだが、沢野ひとし氏の「あの ホームページって なんなのだ」のカットが味があって面白い。(★★★★)


20060819tongarashi
椎名誠: とんがらしの誘惑
文春文庫

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喜劇・急行列車

浅草名画座に「男たちの大和/YAMATO」を見に行った時、同時上映していた。
ヤマトのおまけのつもりでついでに見たのだけど、これは面白い!!

主演は渥美清で、ストーリー的にはほぼ「男はつらいよ」と思ってもらって問題ない。ヒロインもいる。
寅さんと違うのは、主人公の青木(渥美清)が仕事熱心な車掌であることと、結婚していることくらいか。

そして見逃せないのが、登場する列車。1967年作成ということもあり、今はもはや見ることのできない列車が続々登場する。鉄道オタクは、はっきり言って必見! 絶対見ろ!
主人公が車掌を務める寝台特急「さくら」や、0系新幹線が時代の最先端として描かれているのだが、2006年になった今では両方とも見ることができない。いやはや、この時代は良かったなぁ。

しっかし、浅草名画座はさすがだったよ。なんでもないような渥美清のギャグに、場内は大ウケ。他のシリーズも見たいところだ(★★★★)


20060817kigeki
喜劇・急行列車 (1967年)

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男たちの大和/YAMATO

前々から見ようと思っていたのだけど、会社の夏休みに、浅草名画座でやっていたので見てきた。
ちなみに3本立てで、一緒にやってたのは「喜劇・急行列車」と、あと飛車角のヤクザ物。

140分近い大作なので途中でダレるのではないかと思っていたのだけど、そんな心配は杞憂で非常に短い140分だった。
8月15日は、みんなでこれ見るべきだね

ただ、冒頭はいきなり唐突すぎだろうとか、みんな広島に行くのはストーリーご都合主義すぎだとか、微妙にツッコミどころはあるので星4つで。(★★★★)

男たちの大和 / YAMATO
男たちの大和 / YAMATO
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原田宗典: わがモノたち

「こんなものを買った」と同様のノリの、原田氏のエッセイ。
まぁ堅苦しくなく気軽に読めるので、ちょっとした空き時間に良いのではないかと。

内容はフツー。(★★★)

20060815wagamono
原田宗典: わがモノたち
新潮文庫

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椎名誠: ネコの亡命

いつもの赤マントシリーズ。
ちょうど氏がモンゴルで映画撮影(「白い馬」かな?)をしていた頃のエッセイなので、モンゴル生活が語られていて面白い。

まぁ気軽に楽しめる一冊です(★★★★)

20060814neko
椎名誠: ネコの亡命
文春文庫

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青木雄二: だまされたらあかん 保険の裏カラクリ

「ナニワ金融道」で有名な青木雄二氏の本。保険業界と、そこで扱われる保険商品について語ってくれる

元々、私は保険に疎くて、リーマンになってからも何の保険にも入っていない。
それはまぁ、私は保険屋というのに疑念を持っていて、いざ何かあってもどーせなんやかんやと難癖付けられて、まともな保険料など払われないと思っているからだったりする。(そういえば、1000万円とか数字だけ見て、病気になれば絶対に1000万円もらえると信じ込んでいた知人がいた)。

本の内容的には、さすが金融界に詳しい作者だけのことはあり、保険商品のアラや騙しをビシビシ指摘くださって心地よい。
ただ、もう少し、マスコミが絶対に保険業界を悪く言わないという仕組みについてもはっきり書いて欲しかったな。当たり前だが、テレビや雑誌に大量の広告を出している保険業界について、批判するテレビ番組なんか絶対に作られるわけがないので。

まぁそんなわけで、とりあえず保険について胡散臭いと思っている人は読んでおいていいのではないかと。
しかし惜しい人を亡くしたものです(★★★★)


20060814hoken
青木雄二: だまされたらあかん 保険の裏カラクリ
徳間文庫

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ウィリアム・ギブスン: ニューロマンサー

今さら私が解説するまでもない、超有名SF小説。サイバーパンクの原点。

以前にさらりと読んだことはあったのだが、きちんと最後まで読み通していなかったため、蔵書整理をしていた折にようやく読了。
しかし後半に進むにつれてどんどんと難解になっていき、理解できたかと言えばNoと言わざるを得ない。解説本も必要だなぁ

ちなみに「MATRIX」も「攻殻機動隊」も、その根底にあるのはこの本であると言って問題ない。
まぁそんなわけで、未読ならば恥ずかしい本としてさっさと読んでしまいましょう(★★★★)

20060809neuro
ウィリアム・ギブスン: ニューロマンサー
ハヤカワ文庫SF

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水木しげる: ほんまにオレはアホやろか

「ゲゲゲの鬼太郎」で有名な、水木しげる氏の自伝。
少年時代から青年時代を経て、紙芝居作家として困窮しながらも生きていくさまが清々しい。

読んでいると、よくもまぁこれだけ波瀾万丈の人生をと思うのだが、それを淡々と、かつおもしろおかしく語るのはさすがと言える筆力。
自伝的な読み物ではあるのだが、要所要所でさまざまな時代背景を読み取ることができ、歴史的資料としても読める一品だ

ちなみに、軍隊時代の著者の自伝として「水木しげるのラバウル戦記」というのが、ちくま文庫から出ている。
こちらも非常に面白いので、未読の方は合わせて読まれることをオススメする(★★★★)

20060805mizuki
水木しげる: ほんまにオレはアホやろか
新潮文庫

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上遠野 浩平: ブギーポップは笑わない

色んなところでやたらと有名だったので、前から読もう読もうとは思っていたのだが、結局今頃になって読むことになった。
そもそも最初に聞いたタイトルから気になっていたので、それから考えると、読みはじめるまでに6年くらいかかったことになる

話の構成としては、学園に現れた不思議人物(+α)と、彼らにかかわる主人公達……というオーソドックスなもの。
ただ、この本では、各登場人物それぞれからの視点を組み合わせることにより全体の物語となる……という構成を取っており、そこがちょっと目新しい。ある人物にとって大変に重要事件となることが、他の人物にとっては些細な問題でしかないという辺りがニクい演出。

しかし、電撃大賞とまで言える作品かなぁ? 特に最初の方は荒削りな部分が多く、読んでいて気になる&納得できない部分もちらほら。
まぁ、私が既にヒネクレ者の大人となってしまったので、「学園=(イコール)世界」な登場人物達に、感情移入できなかったというのも大きいね。とりあえず星3つで。(★★★)


上遠野 浩平: ブギーポップは笑わない
上遠野 浩平: ブギーポップは笑わない

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三戸 祐子: 定刻発車—日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか?

ふと書店で目に留まり、買ってみた。

まぁ私は基本的にダメ人間なので、電車が遅れて怒ったという経験はあまり無い。
それは、あの几帳面なドイツですら、電車は平気で5分や10分は遅れるということを知っているからだ。

「5分の遅れすら許さないために、社会全体として(特に労働者に)とてつもなく高い負担を強いる」のが日本で、「5分〜10分遅れ程度は社会全体として許容して、その代わりに現場労働者に負担をかけない」というのがそれ以外の国なのだ。
もっとぶっちゃけて言えば、「もっとみんな、楽して生きようよ」ということになる。

長くなったが、つまり世界でも日本の鉄道だけが異常なほどに定刻なのだという認識は、常識として持つべきやね

この本は、その辺のある意味「世界的にも異常」な日本の鉄道について、過去の鉄道の歴史から、定刻発車のメカニズム・ダイヤ構成のシステム・遅れ復旧への様々な試みを詳細に述べており、大変に興味深い。鉄道に対する専門的なことから初歩的なことまで広く解説されており、分かりやすい例も多いため、読みやすさも格別だ。
鉄道オタクのみならず、ぜひ広く読んで頂きたい書物。

まぁしかし漏れとしては、たかが電車が5分遅れたくらいで大混乱になる今の日本の社会システムが根本的に間違っていると思っているので、あまり共感できない部分が多いことも確か。
5分遅れ程度が当たり前のように認められる社会になれば、もっとゆとりある国になるんだろうにねぇ(★★★★)

定刻発車―日本の鉄道はなぜ世界で最も正確なのか? (新潮文庫)
三戸 祐子
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