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2005年8月

タニス リー: バイティング・ザ・サン

アトレヴィー(挨拶)。

まずこの本は、装丁がやたらと豪華! 美しい表紙と、カバーを剥がすと表れるミラー塗装……金かけてるなー! しかも定価はたったの1280円。産業図書、大丈夫か? 2000円でいいと思うんだけど

内容としては、未来の理想郷(ユートピア)に住む人々を描いた、古典的SFの雰囲気漂う小説。シェルター状の建物の中で疑似型ロボットに囲まれ、過度の安全環境下で暮らす人々は、催眠学習期間とジャングと呼ばれる若者(?)の期間、そして大人の期間の3つを過ごす。物語は主にこのジャングにスポットを当てるわけだが、そこで使われる「アトレヴィー」「デリサン」「ウーマ」などのジャング語が非常に心地よい。
主人公の女の子(この世界では性別も簡単に変更できるのであまり意味は無いが……)はそこで悩み、怒り、笑い、そして成長していくわけだが、彼女を取り囲む友人・知人は一癖もフタ癖もあるものばかり。自殺癖の強いハーゲル、好きになって欲しいのに化け物じみた格好ばかりするハッタ、主人公の運命を激しく狂わせるザークなど……。

発行年をよく見たら、1970年代に書かれているので随分と昔やね。何故に今頃、復刊されたのだろうか……。
本書はその頃からSFに慣れ親しんでいたSF玄人には物足りないのだろうけど、「ニューロマンサー」からSFに足をつっこんだ最近の若い人(私含む)にはむしろその感覚が新鮮・斬新! 初めの方は感覚を掴むのに苦労したものの、それからは怒濤の勢いで読んでしまった。ただ、後半の砂漠はちょっとダレるけどね……ラストシーンが少々拍子抜けなのも残念。

それでも、私の中でベストSFであることは確定。デリサン!!(★★★★★)

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未来世紀ブラジル

※注意:このレビューはネタバレを含みます

色んなところで紹介されていてずっと前から見ようと思っていたのだけど、仕事で大阪に行ったときに日本橋のさうんど・ぱっくでLDを見つけて買ってきた。というわけで、私が見たのはDVDじゃなくてLD版ね
ちなみにLD版のケース裏面は、劇中ほんの1カットしか出てこないシーン(サムが情報剥奪局から脱走しようとして銃撃戦になり、そこで事務員(?)が撃たれてのけぞりながら蜘蛛の巣状に割れるメガネがアップになるシーン)が大写しになっている。これを見ているだけでもかなりコワイ。

さて内容的には、ブラックジョークを交えた近未来悲観的SF……とでも言うべきか。監督があのモンティ・パイソンのテリー・ギリアムということもあり、不謹慎とブラックジョークの境界スレスレをガンガン突いてくる。
未来SFであのタイプライターは無いだろうとツッコミが入るかもしれないが、あれはどう考えてもわざとだろう。あえて電子的な機械を持ち出さずに、タイプライターとレンズ状のスクリーンを持ち出した所にも時代への皮肉がかいま見える

印象深いストーリーではあったものの、やはりラストシーンの衝撃には、しばらく身動きが取れなかった。まぁこういう題材ではありがちな結末ではあるものの、いざそれが眼前に叩き付けられると、やはりショックがデカい。
正統派の解釈ではタトルによる救出劇からがサムの夢なのだろうけど、この映画の最初から最後までが全てサムの夢、という解釈も十分あり得るわけで、それに気が付くとそら恐ろしくなってくる。

非常に優れた面白い映画であることは確かなのだが、とても2度目を見る気にはなれなかった……(★★★★★)

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手塚治虫: 時計仕掛けのりんご

手塚治虫の短編集。ブックオフで安かったので捕獲してきた
タイトルとなっている「時計仕掛けのりんご」は、ストーリーに激しく無理があることもさておいて、主題も激しく幼稚に感じられてしまった。これがあの「火の鳥」を書いたのと同じ人だろうか……と少し悲しくなってしまったよ(★★)

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ダン シモンズ: ハイペリオン

各所で大絶賛だったSF小説。この上下巻だけでも分厚いのに、まだまだ「ハイペリオンの没落」「エンディミオン」「エンディミオンの覚醒」と続くらしい。
確かに非常に面白いし、分厚さも全く気にならなかったのは事実だけど、ベストとまでは言えないかなぁ……まぁ、続編まで読んでみないとダメなのかもしれないけども。(★★★★)

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清水 義範: 間違いだらけのビール選び

清水義範の典型的一冊。「普通の人」の日常風景を描く、短編小説集。
アメリカ出張の際に軽めの本をと思って持って行ったのだが、内容が想像以上に軽すぎて全く楽しめなかった……。あの名作、「インパクトの瞬間」を初めて読んだときのショックを、また叩き付けて欲しいのだけども……残念!(★★)

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